介護の資格はどの順番で取るべき?国家資格を目指すためのルートを解説

介護の資格はどの順番で取るべき?国家資格を目指すためのルートを解説

「介護の資格は種類が多くて何から始めればよいかわからない」「今、無資格で働いているが、どうステップアップすべきか迷っている」と悩んでいるかたはいませんか。本記事では、未経験から介護福祉士を目指すおすすめのルートや、資格を順番に取得するメリット、働きながら資格を取るコツについてわかりやすく解説します。自分の状況に合った資格取得の順番を知り、無駄なく着実にスキルアップしましょう。【執筆者/専門家:福田浩史】


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介護の資格は取得する順番が重要?

■執筆者/専門家

福田 浩史のページ

https://mynavi-iryofukushi.jp/media/users/39

工業高校卒業後、ホテルと警備会社の勤務経験を経て、2014年から介護老人保健施設で働き始める。2018年に介護福祉士を取得。その後は、特別養護老人ホームに転職し介護の知見を広げる。難病が発覚したことをきっかけに現場を離れ、介護福祉士ライターに転身。「現場で働く介護士にエールを」をテーマに掲げ活動している。

介護の資格は、基礎的なものから順番に取得するのが一般的です。ただし、現場で実務をこなす中で、基礎的なスキルを身につけられる場合もあります。

■自分の経験や状況に合ったスタート地点を選ぼう

例えば、無資格で現場に入り、ある程度経験を積んだかたなら、初任者研修を飛ばして実務者研修から取得するのも一つの手段です。実際、そのほかの資格を持たずに、実務者研修からキャリアをスタートさせる方も多くいます。

そのため順番のセオリーを理解しつつ、自分の今の状況に合ったスタート地点を選ぶのが、キャリア形成の近道といえるでしょう。

迷っている方におすすめの介護資格取得の順番

「働き始める前に基礎知識を学びたい」「自分のスキルがどの程度かわからない」という方には、基礎から段階的に学べる基本ルートが最適です。

ここからは、未経験からでも着実にステップアップできる、おすすめの資格取得の順番について解説します。

■1.認知症介護基礎研修

認知症介護基礎研修は、無資格の方が介護現場で働くための研修で、採用から1年以内にこの研修を受講することが義務づけられています。

研修で学ぶ具体的な内容や基本情報を、以下の表にまとめました。

出典:厚生労働省「『認知症介護実践者等養成事業の円滑な運営について』の一部改正について」
研修は、半日から1日程度で基礎を学べる実践的な内容となっています。

受講料は自治体や実施機関によって異なり、3千円前後が目安です。ただし、自治体や補助制度によっては無料になる場合もあります。厚生労働省は事業所による費用負担も想定しているため、勤務先が支払ってくれるケースも少なくありません。

ほかの資格を目指す前の準備段階として、まずは認知症介護基礎研修の修了を目指しましょう。

■2.介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護職として本格的なキャリアをスタートさせるための基盤となる資格です。認知症介護基礎研修よりも幅広い内容となっており、食事や入浴といった身体介護の具体的な技術を計130時間かけて学びます。

詳しいカリキュラムの内容は、以下の通りです。

出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修関係)」
受講費用や取得期間は自治体、スクールによって異なりますが、平均的な費用は4万〜10万円前後、受講期間は1〜4カ月程度が目安です。

認知症介護基礎研修を修了した方は、介護職員初任者研修で知識と技能を確実に身につけましょう。

■3.介護福祉士実務者研修

介護職員初任者研修を修了したかたが、次に目指すべき資格が介護福祉士実務者研修です。ただし、すでに現場で経験を積んでいるかたの中には、介護職員初任者研修を飛ばして、介護福祉士実務者研修から資格取得をスタートさせることも珍しくありません。

国家資格である介護福祉士になるために避けて通れない研修で、実務経験ルートで国家試験を受験する場合は、3年以上の実務経験に加えて、介護福祉士実務者研修の修了が義務づけられています。

厚生労働省の資料に定められたカリキュラムは、以下の通りです。

出典:厚生労働省「実務者研修の概要」
受講費用は約3万〜15万円、期間は約6カ月が目安とされています。なお、介護職員初任者研修を修了している場合は一部科目が免除され、学習時間や費用負担が軽減されます。

450時間と学習量は多いものの、研修を通じて介護の質の向上に直結する学びが得られるでしょう。介護福祉士を目指すかたは、状況に合わせて早めに受講し、国家試験に向けた準備を整えるのがおすすめです。

■4.介護福祉士

これまで紹介してきたステップアップのゴールとなるのが、国家資格である介護福祉士です。介護福祉士は、心身の障害で日常生活を送るのが難しいかたをサポートする専門職で、利用者の身体介護・生活援助はもちろん、ご家族への相談・指導や現場スタッフの育成なども担います。

「働きながら合格を目指すのは難しそう」と感じる方もいるかもしれませんが、過度に不安を感じる必要はありません。認知症介護基礎研修、介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修と順番にステップを踏んでいけば、確実に専門的な知識・スキルが身に付くからです。

実際の受験をイメージしやすいように、試験の時期や昨年の合格率といった基本情報を表にまとめました。

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験、介護福祉士国家試験、精神保健福祉士国家試験」
出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移」

過去3年の合格率はおおむね7〜8割となっており、基礎から順番に学んでいけば決して手の届かない資格ではありません。また、介護福祉士試験では、全13科目を三つのパートに分けて段階的に合格を目指せる「パート合格制度」が導入されており、合格したパートは2年間受験が免除されます。

まずは基礎資格の取得から始め、最終目標である介護福祉士試験に臨めるようにしましょう。

順番に取得する具体的なメリット

現場の経験によっては途中から資格を取ることも可能で、順番通りに取得する必要はありません。しかし、あえて基礎からステップアップしていくルートには、明確なメリットが三つ存在します。

順番に説明します。

■1. 基礎から学べるため挫折しにくい

自分の知識レベルや学習ペースに合わせて、基礎から順番に知識・技術を身に付けていけば、途中で挫折しにくくなります。

例えば、いきなり介護福祉士実務者研修から資格取得を始めた場合、現場では未経験だった介助の仕方や専門的な知識の多さに、大きな壁を感じるかもしれません。一方、介護職員初任者研修からスタートすれば、基礎知識と実際の業務を結びつけながら、無理なく理解を深められます。

確実なキャリアアップを目指すのであれば、介護職員初任者研修で基礎知識を学ぶところから始めてみましょう。

■2. 着実な給与アップにつながる

多くの職場では保有資格に応じた「資格手当」が設定されており、資格を取得することは収入の底上げにもつながります。上位資格ほど金額が上がる傾向にあるため、順番に資格を取得していけば、着実に収入アップを目指せるでしょう。

以下に、一般的な資格手当の相場をまとめました。

ただし、手当の有無は勤務先の規定によって異なります。事前に就業規則を確認した上で将来の見通しを立て、目標を明確にしながら収入アップを目指しましょう。

■3. 働きながら国家資格を目指せる

働きながら無理なく国家資格を目指せるのも、大きなメリットといえます。

例えば、現場で働きながら、介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修と順を追って修了すれば、資格取得と並行して必要な実務経験を積めます。資格取得のために仕事を辞めて、学校へ通い直す必要もありません。

毎月の収入を確保しながら資格取得を目指したいのであれば、段階的に資格を取得する方法をおすすめします。

介護の資格を働きながら取得するコツ3選

働きながら介護資格を取得するには、仕事や費用の負担を抑えながら、無理なく学べる環境を整えることが大切です。そのためにも、利用できる制度は積極的に活用していきましょう。

ここでは、仕事と学習を上手に両立させ、着実にステップアップしていくコツを三つ紹介します。

■1.職場の資格取得支援制度を活用する

働きながら資格取得を目指す場合、職場の「資格取得支援制度」を活用することで、高額になりがちな費用の負担を減らせます。

制度の有無や細かい利用条件は、施設や事業所によって異なりますが、数万円かかる研修の受講料やテキスト代を負担してくれたり、無事に合格した際に報奨金が支給されたりするケースが多く見られます。まずは、就業規則を見たり担当者に詳細を確認したりするとよいでしょう。

利用できる支援制度を有効に活用し、効率的に学習を進めてください。

■2.通信講座や土日・夜間コースを選ぶ

働きながら資格を取得する際は、通信講座や土日・夜間コースを開講しているスクールを選びましょう。それによって、自分の勤務形態に合わせながら、無理なく学習時間を確保できるはずです。

例えば、平日の夜間コースを選べば、仕事帰りにそのまま教室へ向かえます。また、座学を自宅で進められる通信講座を利用すれば、休日の通学日数を最小限に抑えられます。

忙しい日常の中でスキルアップを目指すなら、自分のライフスタイルに合った通いやすいスクールを見つけることが重要です。

■3.職場にシフト調整の協力を得る

働きながら資格を取得するには、職場に協力を仰ぐことが大切です。スクールの通学日や試験日に合わせて、あらかじめ休日を確保しておきましょう。

スムーズに仕事と両立させるために、以下のポイントも意識してみてください。

・早めの相談
受講日程が決まり次第、なるべく早く上司へ伝える

・希望休の申請
通学日や試験当日の休みを具体的に申請する

・周囲との連携
自分が休む日の業務に支障が出ないよう引き継ぎを行う

自分の負担を減らすことはもちろん、職場の仲間にも配慮しながら、無理のない学習計画を立てましょう。

介護に関連するそのほかの資格

介護業界には、ここまで紹介した資格以外にも、特定の分野で専門性を高められる資格があります。そうした資格を取得することは、業務の幅を広げるだけでなく、将来のキャリアの選択肢を増やすことにもつながるでしょう。

ここでは、現場で生かせる関連資格を三つ紹介します。自分の目標やキャリアプランに合わせて、取得を検討してみてください。

■1.喀痰吸引等研修

喀痰(かくたん)吸引等研修は、原則として医師や看護師にしか認められていない医療行為の一部を、介護職員が行うための研修です。

研修を修了すると、医師や看護師の指示・連携のもとで、以下のケアができるようになります。

・喀痰吸引
口や鼻の中、気管カニューレの内部にたまった痰を機械で吸い取るケア

・経管栄養
口から食事をとるのが難しい方に対し、胃ろうやチューブなどを通じて直接栄養を送るケア

これらは、医療的ケアが必要な方の生活を支える大切な技術です。対応できるスタッフは現場で重宝されるため、できる業務の幅を広げたい方は、取得しておいて損はありません。

■2.福祉用具専門相談員

福祉用具専門相談員は、高齢者や体が不自由な人の状態に合わせて適切な福祉用具を提案し、自立した生活をサポートする専門職です。介護保険の指定事業所への配置が義務づけられており、介護サービスを提供する上で欠かせないポジションとなっています。

業務内容は、大きく以下の三つに分けられます。

・選定相談と計画作成
利用者の状態や環境に適した用具を選び、利用計画を立てる

・適合と取扱説明
体に合わせて用具を調整し、安全な使い方を説明する

・訪問確認(モニタリング)
定期的に自宅を訪問し、点検や状況確認を行う

資格は53時間の指定講習を修了することで取得できますが、介護・医療の国家資格(保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、義肢装具士)を持っていれば、講習なしで業務が行えます。

福祉用具の知識を深めたい方は、ぜひ取得を検討してみてください。

■3.介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員(ケアマネジャー)は、利用者が適切な介護サービスを受けられるように計画を立て、自治体や事業者との連絡・調整を行う専門職です。介護保険制度の「要」というべき存在で、利用者の心身の状況や希望を把握し、最適なサポート体制を構築する役割を担っています。

業務内容は、大きく以下の三つに分けられます。

・ケアプラン(介護サービス計画)の作成
・自治体への要介護認定の申請代行
・介護サービス事業者や関係機関との連絡調整

受験資格を得るためには、介護福祉士や社会福祉士といった国家資格、あるいは相談援助業務において、原則5年以上かつ900日以上の実務経験を満たす必要があります。

現場で経験を積んだ後の、大きなキャリア目標として見据えておきましょう。

まとめ:自分に合った順番で介護の資格を取得しよう

介護業界で長く活躍するためには、資格の取得が大きな武器になります。無資格・未経験から介護業界に挑戦する方は、自分のレベルに合った順番で資格を取得し、ステップアップを目指してください。

なお、働きながら学ぶ場合は、一人で抱え込まず、職場の支援制度や柔軟なカリキュラムを持つスクールを活用することが大事です。

資格を持てば、担当できる業務の幅が広がり、将来のキャリアの選択肢も増えます。まずは、今の自分に必要な資格や制度を明確にし、無理のないスケジュールで始めていきましょう。

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