マイナビ医療福祉キャリア
介護タクシー運転手になるには?必要資格・仕事内容・年収を徹底解説

介護タクシー運転手になるには?必要資格・仕事内容・年収を徹底解説

介護タクシー運転手になるために必要な資格を徹底解説。普通自動車第二種免許や介護職員初任者研修の違い、介護保険が適用される条件、仕事内容、給料・年収の目安までわかりやすく紹介します。【執筆者:越沼 葉子】


\あなたにぴったりの求人が見つかる/
「介護職・ヘルパー」の求人を見る
介護タクシーの仕事に興味を持っている方の中には、「二種免許があれば働けるのだろうか」「介護の資格も必要なのだろうか」などの疑問を感じている方もいるでしょう。

実は、介護タクシー運転手に必要な資格は一律ではなく、担当する業務の内容や関係する制度によって異なります。そして、こうした違いを整理しておくことで、自分に必要な準備や進むべき方向が明確になり、資格取得の計画も立てやすくなるはずです。

この記事では、介護タクシーに必要な資格を整理するとともに、仕事内容、収入の目安などについてもわかりやすく解説します。

介護タクシー運転手に必要な資格の全体像

執筆者/専門家

越沼 葉子

https://mynavi-iryofukushi.jp/media/users/32

専門学校卒業後、訪問介護から介護の仕事をスタート。サービス提供責任者、居宅ケアマネジャー、グループホームでのユニットリーダーなどを経験。認知症や精神疾患への理解を大切にしながら、本人と家族の気持ちに寄り添う支援を心がけている。その経験をもとに、制度と現場の両面から、わかりやすい情報を届けている。

介護タクシーで求められる資格は、「運転に関する資格」と「介助に関する資格」の2つに大別されます。まずは、運転業務が中心なのか、乗降や移乗など身体に触れて行う介助(いわゆる身体介助)まで含むのかによって、必要な資格の組み合わせが変わるという点を押さえておきましょう。

介護タクシーと福祉タクシーの違い【資格・保険・業務範囲】

「介護タクシー」という名称は法令上の正式な区分ではなく、実務上の通称です。

一般的には介護保険を利用する通院等乗降介助と、車いす対応車両などによる福祉輸送サービスを、まとめて介護タクシーと呼ぶこともありますが、それらは制度上異なる区分です。また、必要な資格や保険の扱いも異なります。

この違いをあいまいにしたままだと、必要な資格や制度区分を混同してしまう可能性があるので、下の表で主な違いを把握しておきましょう。

出典:厚生労働省「訪問介護における通院等乗降介助の見直しについて」
出典:国土交通省「福祉タクシーについて」

※表は上記の資料をもとに筆者が作成

資格要件の違い

通院等乗降介助と福祉輸送サービスの大きな違いは、身体介護を業務として含むかどうかにあります。

通院等乗降介助は介護保険サービスの1つであり、業務範囲には乗車・降車の介助、移動のサポートなどが含まれます。そのため、通常は運転資格に加えて介護資格が必要になります。

一方、福祉輸送は移動支援を中心とするサービスです。介助を業務に含まない場合は、原則として運転資格だけで対応できます。

介護保険の扱い

介護保険を利用する場合は、ケアプランに基づく通院等乗降介助として提供され、利用者は自己負担割合に応じた費用を支払います。ただし、利用者要件や外出目的には条件があり、すべての移動が対象となるわけではありません。

福祉輸送は原則として保険適用外となり、全額自己負担となります。

利用目的と範囲

通院等乗降介助の利用目的は、通院や公的手続きなど、生活上必要と認められる外出(介護保険が適用される範囲の外出)に限られます。

福祉輸送のほうは、利用目的に対する制限が少なく、実際の対応範囲は契約内容によって決まります。

介護タクシーに必要な2つの資格|二種免許と介護資格

ここでは、介護タクシーに求められる代表的な資格を紹介するので、制度上の位置付けや福祉関連業務での扱いについて、理解を深めてください。

普通自動車第二種免許

普通自動車第二種免許(二種免許)は、有償で人を運ぶ場合に必要となる国家資格です。多くの介護タクシー事業者では、二種免許の取得が前提とされています。

介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)

介護職員初任者研修は、「介護の入門編」ともいうべき資格で、研修を通じて基本的な介護の知識や技術を学べば、修了後、介助業務に携われます。乗降や移乗などの介助を業務として行う場合は、介護資格を持つ人が担当するのが一般的です。

■上位資格(実務者研修・介護福祉士)は必要か

介護タクシーの仕事に就くにあたって、実務者研修や介護福祉士などの資格は必須ではありません。多くの事業所では、二種免許+初任者研修で業務を行っています。

ただし、このような上位資格を取得していると、知識の幅が広がり、利用者の状態に応じた対応や判断がしやすくなります。事業所によっては、資格手当が支給される場合もあるでしょう。

介護タクシーで介護保険が適用される条件

介護タクシーで介護保険が適用されるのは、一定の要件を満たした場合に限られ、すべての移動が給付の対象になるわけではありません。ここでは、どのような場合に保険が使えるのかを見ていきます。

保険適用になる主な条件

通院等乗降介助として介護保険の対象となるには、次の要件を満たす必要があります。

業務の代表例は医療機関への通院や公的機関での手続きなどです。入退院時の移動も、要件を満たせば保険の対象になります。居宅を起点または終点とする外出が原則ですが、最終的な判断はケアプランや地域ごとの扱いによります。

保険適用外となる代表例

制度上「必要な外出」と認められない場合は、自費での利用となります。保険適用外となる外出の代表例は、以下のとおりです。

介護タクシーの1日の流れと仕事内容

介護タクシーの仕事は運転だけでなく、必要に応じて介助を行う点が特徴です。ここでは、1日の仕事の流れと仕事内容を紹介します。

1日の流れ

1日の流れの一例は、次のとおりです。

多くの事業所は予約制となっており、普通のタクシーのような流し営業は行いません。スケジュールはあらかじめ決まっていますが、利用者の体調や医療機関の待ち時間によって前後することもあります。

主な業務内容

利用者の状態や契約内容に応じて、次のような支援を行います。
・車いすへの移乗介助
・自宅から車両までの移動介助(歩行や車いすの操作補助)
・車いす固定装置の確認
・運転(急発進や急ブレーキを避けた運転)
・到着後の付き添い(契約範囲内)
・運行記録の作成
・車両の清掃や消毒

一般のタクシー・施設送迎との違い

一般のタクシーとの違いは、利用者の身体状況に配慮した移動支援を行う点にあります。また、施設送迎のような固定ルートの運行ではなく、個別予約ごとの対応が中心となります。

介護タクシー運転手の開業と就職の違い

介護タクシーの運転手は、事業所に勤務する働き方と自ら開業する働き方に分かれます。

事業所に勤務する場合

事業所に勤務する場合は、事業所が定める資格要件や勤務条件を満たさなければなりません。業務範囲や勤務条件は、事業所ごとに異なります。

開業する場合

自ら開業する場合は、個人の資格に加えて、制度区分に応じた許可や登録が必要です。そのため、資格を取得すればすぐに営業できるわけではなく、所定の手続きを行った上で体制を整える必要があります。

■開業に必要な許可と手続き

福祉輸送事業を実施する際は運輸局の許可を受ける必要があり、車両や運行体制など定められた条件を満たさなければなりません。一方で、市町村に福祉有償運送の登録をすることで、有償送迎が可能になる制度もあり、この場合は第一種免許と所定講習で事業に従事できます。

なお、介護保険の通院等乗降介助を行う場合は、法人格を持ち、訪問介護事業所として指定を受ける必要があります。運送と介護の双方に関わる場合は、それぞれの要件を満たすことが前提となります。

介護タクシー運転手の給料・年収の目安

介護タクシー運転手の収入は、働き方や地域によって幅があります。厚生労働省の「職業情報提供サイトjob tag」によると、年収の全国平均は約450.8万円、月額の平均(求人賃金)は21.9万円となっていました。ただし、実際の金額は、勤務先の給与体系や経験、保有資格などによって変わります。

ここでは、事業所に勤務する場合と自ら開業する場合に分けて、給料の詳細を見ていきましょう。

事業所に勤務する場合

事業所に勤務する場合は、月給制に歩合給を組み合わせる給料体系が一般的で、実際の支給額は、稼働件数や勤務時間帯などによって差が出ます。社会保険や賞与制度の有無も事業所ごとに異なり、中には資格手当が支給されるところもあります。

開業した場合

開業した場合は、売り上げから車両費やリース料、燃料費、保険料、整備費などの経費を差し引いた額が収入になります。稼働件数や地域の需要によって収入が変わるため、安定した運営を目指すには、ケアマネジャーや病院、施設などへの営業活動も大切です。

介護タクシー運転手に役立つ関連資格・研修

二種免許や初任者研修のほかにも、介護タクシーの実務に役立つ資格・研修があります。いずれも法令上の必須要件ではありませんが、サービス品質の安定や利用者満足度の向上を図る際には有用です。

1.ユニバーサルドライバー研修(UD研修)

ユニバーサルドライバー研修は、タクシー事業者団体などが実施するバリアフリー教育研修です。研修では高齢者や障害のある方の特性、声かけの方法、車いすの取り扱い、安全な乗降支援などを体系的に学べるため、修了することで利用者への対応力が向上するでしょう。

2.サービス介助士(ケアフィッター)

サービス介助士は、高齢者や障害のある方への接遇と基本的な介助技術を学ぶ民間資格です。サービス業全般で活用されており、自費サービスを中心とする事業所では、対応力を示す証しとして評価される傾向にあります。

3.普通救命講習

消防本部などが実施する普通救命講習では、AEDの使用方法や心肺蘇生法などを学びます。介護タクシーは、健康状態に不安を抱える利用者を輸送する場面もあるため、急変時に落ちついて対応できる知識・スキルは大事です。いざというときの備えとして、受講しておくと安心でしょう。

介護タクシー運転手への応募前に確認しておきたいポイント

「介護タクシー」とひと口にいっても、制度区分や業務範囲は事業所ごとに異なります。応募前に希望の条件や優先項目を整理しておいて、自身の目的に合った職場を見つけてください。

求人票で確認すべき項目

勤務条件で確認したい点

業務内容や勤務条件は、心身の負担や離職リスクに直結します。疑問点があれば、面接時にきちんと確認しておくと良いでしょう。

まとめ:介護タクシーの資格要件と制度のポイント

介護タクシーの資格要件は、制度区分と業務範囲によって決まります。運転資格と介護資格はそれぞれ別の要件であり、介助を行うかどうかによって必要な資格の組み合わせが変わります。

また、介護保険を使う場合と福祉輸送として運行する場合では、求められる条件や体制も異なります。二種免許の位置付けや介護資格の役割を整理して、自分に必要な準備や進むべき方向を明確にしておきましょう。

制度と業務範囲を押さえておくことが、必要な資格を見極める第一歩となるはずです。

■参考資料

厚生労働省 職業情報提供サイト job tag
厚生労働省 訪問介護における通院等乗降介助の見直し
国土交通省 福祉タクシー
警察庁 第二種免許等の受験資格の見直しについて
警察庁 普通第二種免許に係る教習カリキュラムの見直しについて
厚生労働省 介護員養成研修の取扱細則について
東京消防庁 応急手当に関する講習

あわせて読みたい記事

介護ドライバーとは?必要な資格や給与事情、仕事内容を徹底解説 | ささえるラボ

https://mynavi-iryofukushi.jp/media/articles/1284

介護ドライバーとはデイサービスなどで利用者さんの送迎を行う運転手のことです。似た職種の介護タクシードライバーなどと混在されがちですが、必要な資格や業務内容などに違いがあります。この記事では、介護ドライバーとはどのような職種なのかであったり、具体的な仕事内容、給与事情、給与アップの方法などについて解説します。

介護職だけじゃない「介護現場の仕事」の種類と内容・必要な資格を紹介 | ささえるラボ

https://mynavi-iryofukushi.jp/media/articles/608

介護現場の仕事といえば、利用者のケアをする介護職が有名ですが、ほかにもさまざまな職種があります。介護関連の主な職種とその仕事内容、必要な資格について解説します。

\あなたにぴったりの求人が見つかる/
「介護職・ヘルパー」の求人を見る

この記事のライター

介護支援専門員・介護福祉士

関連するキーワード


介護の仕事 介護施設 運営

関連する投稿


第204話 「食事介助」/ほっこり介護マンガ

第204話 「食事介助」/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


高齢者の夏バテ対策完全ガイド|脱水・食欲低下を防ぐ介護現場の実践ポイント

高齢者の夏バテ対策完全ガイド|脱水・食欲低下を防ぐ介護現場の実践ポイント

高齢者の夏バテは脱水や食欲低下だけでなく、室温管理や睡眠環境も大きく影響します。本記事では、高齢者の夏バテの原因や予防法、水分補給・食事の工夫、脱水のサインまで介護現場で役立つ実践ポイントを解説します。【執筆者/専門家:脇 健仁】


第203話 「熱中症対策」/ほっこり介護マンガ

第203話 「熱中症対策」/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


第202話 「こわい話」/ほっこり介護マンガ

第202話 「こわい話」/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


【2025年義務化】介護施設の熱中症対策とは?対象条件・3つの義務・罰則まで社労士が解説

【2025年義務化】介護施設の熱中症対策とは?対象条件・3つの義務・罰則まで社労士が解説

介護施設で働く方からのお悩みです。職場での熱中症対策義務化に伴い、施設管理者や職員の方が取り組むべき具体策について、介護業界特化型の社会保険労務士として活動する山本武尊さんに、詳しく解説していただきます。【執筆者/専門家:山本 武尊】


マイナビ医療福祉キャリア 閲覧ランキング
【北海道・東北】
【関東・甲信越】
【北陸・東海】
【関西・中四国】
【九州・沖縄】

最新の投稿


介護タクシー運転手になるには?必要資格・仕事内容・年収を徹底解説

介護タクシー運転手になるには?必要資格・仕事内容・年収を徹底解説

介護タクシー運転手になるために必要な資格を徹底解説。普通自動車第二種免許や介護職員初任者研修の違い、介護保険が適用される条件、仕事内容、給料・年収の目安までわかりやすく紹介します。【執筆者:越沼 葉子】


高齢者の夏バテ対策完全ガイド|脱水・食欲低下を防ぐ介護現場の実践ポイント

高齢者の夏バテ対策完全ガイド|脱水・食欲低下を防ぐ介護現場の実践ポイント

高齢者の夏バテは脱水や食欲低下だけでなく、室温管理や睡眠環境も大きく影響します。本記事では、高齢者の夏バテの原因や予防法、水分補給・食事の工夫、脱水のサインまで介護現場で役立つ実践ポイントを解説します。【執筆者/専門家:脇 健仁】


第204話 「食事介助」/ほっこり介護マンガ

第204話 「食事介助」/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


新人介護職員の独り立ちまでの期間は?早く成長する人の特徴と仕事を覚えるコツを解説

新人介護職員の独り立ちまでの期間は?早く成長する人の特徴と仕事を覚えるコツを解説

介護施設に勤務する新人介護職員の方から寄せられたお悩みです。介護福祉士や社会福祉士、ケアマネジャーの資格を持つ専門家の後藤晴紀さんにご回答いただきました。新人介護職員が独り立ちするまでの期間の目安や、成長を早めるためのポイントについて詳しく解説していきます。【執筆者/専門家:後藤晴紀】


介護リーダーが抱えやすい悩みとは? 現場で役立つ課題解決のコツ

介護リーダーが抱えやすい悩みとは? 現場で役立つ課題解決のコツ

介護施設で介護リーダーを務める方からのお悩みです。ケアマネジャーやデイサービス管理者など、介護現場でさまざまな職務を経験してきた専門家の古畑佑奈さんに、介護リーダーが抱えやすい悩みとその対処法について、詳しく解説していただきましょう。【執筆者/専門家:古畑佑奈】


マイナビ医療福祉キャリア
「マイナビ医療福祉キャリア」は、医療・福祉・介護職に特化した中途、パート向け求人サイトです。
医師、看護師、薬剤師、歯科医師、介護職・ヘルパー、保育士、リハビリ職、技術職、事務職など、専門性の高い職種に特化した求人情報を多数掲載しています。
雇用形態や詳細条件での求人検索もできるのであなたにぴったりな職場が見つかります!
【職種から求人・転職情報を探す】