本日のお悩み:介護施設における熱中症対策の義務化について
はじめに:なぜ今、介護業界で熱中症対策が重要視されているのか
■執筆者/専門家
おかげさま社労士事務所 代表 元地域包括支援センター センター長 社会保険労務士、社会福祉士・主任介護支援専門員・介護福祉経営士1級・ ファイナンシャルプランナー2級(AFP)・簿記3級
参考:職場における熱中症対策の強化について|厚生労働省
■今こそ見直したい介護現場の熱中症リスク
本稿では「熱中症対策の義務化」について取り上げ、介護現場特有のリスクを踏まえながら、施設管理者および職員の方がいますぐ取り組むべき具体策を解説します。
なぜ「義務化」されたのか? 介護業界が抱える潜在的リスク
介護業界においては、利用者の体調管理(エアコンの風をいやがるため温度設定を高めにするなど)が優先されるあまり、「支援する側の職員が熱中症にかかる」というケースが相次いでいます。そして、職員が倒れてしまえば、当然ながら利用者の安全も守れなくなります。
こうした状況を踏まえると、「利用者の命を守るためには、まず職員の命と健康を守らなければならない」という大原則を法的観点から補強したものが、今回の法改正だと言えるでしょう。
義務化の対象となる「作業条件」とは?
■法的義務の対象となる環境条件と時間条件
暑さ指数(WBGT)が28度以上、または気温が31度以上の環境下での作業
・時間条件:
継続して1時間以上、または1日当たり合計4時間を超える作業
■介護現場における具体的な危険シーン(例)
浴室は高温多湿であり、WBGTが28度を超えやすい環境です。そのため、連続して複数人の介助を行う場合は、義務化の対象となります。
・訪問介護(移動・サービス提供):
炎天下での自転車移動や、エアコンを使用したがらない利用者宅での身体介護・生活援助。
・送迎業務:
炎天下で車内温度が上昇した状態での移動や、屋外での乗降介助。
事業者に課せられた「3つの義務」と実践する際のポイント
■1.早期発見のための体制整備(報告体制の確立)
■2.重篤化を防ぐための実施手順の作成
どのタイミングで業務から外すか、他の職員へどう引き継ぐか。
・身体の冷却:
どこで休ませるか(エアコンの効いた休憩室など)、何を使ってどう冷やすか(保冷剤で首・わきの下・鼠径部を冷やすなど)。
・緊急連絡・医療処置:
救急車を呼ぶ基準(意識障害がある、自力で水分摂取できないなど)や緊急搬送先リストの整備。
■3.関係作業者への周知徹底
サービス形態別・すぐに使える具体的な熱中症対策
管理者が知っておくべき労務リスクと法的責任
2025年からの義務化は、「一定の対応が求められる」という国からの強いメッセージです。熱中症対策にかかる備品代や労働時間の調整コストは、「費用」ではなく事業存続に不可欠な「投資」と捉えてください。
職員を守ることが、利用者の安心と生活の質を支える
本格的な暑さが到来する前に、事業所の「熱中症予防マニュアル」と「緊急連絡体制」を見直し、具体策を全職員で共有することで、無事故で夏季を迎えられるよう取り組みましょう。
■あわせて読みたい記事
高齢者の熱中症対策!夏の介護で介護職が気をつけたいこと | ささえるラボ
https://mynavi-iryofukushi.jp/media/articles/1319夏の介護施設での課題の1つが熱中症です。特に高齢の方は熱中症になりやすい特徴があったり、エアコンを使用することを拒んだりと対策にも工夫が必要です。 この記事では、介護施設や自宅でできる高齢者の熱中症対策をご紹介します!【執筆者/専門家:大関 美里】
入浴介助、マスク着用で熱中症に。冷やすだけじゃない!介護職の熱中症対策もご紹介 | ささえるラボ
https://mynavi-iryofukushi.jp/media/articles/542冷やすだけじゃない!個人でできる熱中症対策も!マスクについて常識だと思っていることを、それは本当なのか?疑問を持ってみると意外と解決する【回答者:伊藤 浩一】

おかげさま社労士事務所 代表
元地域包括支援センター センター長
社会保険労務士、社会福祉士・主任介護支援専門員・介護福祉経営士1級・
ファイナンシャルプランナー2級(AFP)・簿記3級