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LIFEフィードバックの読み解き方と活用実践|科学的介護を現場の変化につなげるには?

LIFEフィードバックの読み解き方と活用実践|科学的介護を現場の変化につなげるには?

介護施設で働く方からのお悩みです。現場目線での業務改善に精通している後藤晴紀さんに、LIFE(科学的介護情報システム)フィードバックを現場で生かすためのポイントについて、詳しく解説していただきました。【執筆者/専門家:後藤晴紀】


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本日のお悩み:LIFE(科学的介護情報システム)フィードバックの活用方法

LIFE(科学的介護情報システム)フィードバックについて、具体的な活用方法を知りたいです。

はじめに

執筆者/専門家

後藤 晴紀

https://mynavi-iryofukushi.jp/media/users/9

『介護福祉は究極のサービス業』 私たちは、障がいや疾患を持ちながらも、その身を委ねてくださっているご利用者やご家族の想いに対し、人生の総仕上げの瞬間に介入するという、責任と覚悟をもって向き合うことが必要だと感じています。 目の前のご利用者に『生ききって』頂く。 私たち介護職と出会ったことで、より良き人生の総仕上げを迎えて頂ける為のサポートをさせていただく事が、私たちに課せられた使命だと思っています。

ご質問ありがとうございます。LIFEフィードバックの具体的な活用方法についてお知りになりたいということですね。

LIFEの現状

「LIFE」という言葉自体は、介護現場でもかなり定着してきました。ただし、令和3年度介護報酬改定以降、複数の加算要件に位置づけられたことで、「算定のために入力している」「提出はしている」という施設・事業所が多いのも事実です。この点は、大きな課題だと感じています。

また、現場のスタッフの中には、「他施設は実際どのように活用しているのだろうか。」「フィードバックを現場改善まで落とし込めている施設はあるのだろうか。」「提出後のデータを、現場でどう読み解けば良いか分からない」などの疑問を感じている方も少なくないと思います。

今後の展望

つまり、現在のLIFEは制度としては定着したものの、実践的な活用方法については、まだ模索段階にあるのが実情です。そのため、今後は「提出する」だけでなく、「フィードバックを現場改善につなげる」という視点が、より強く求められるでしょう。

本来のLIFEの役割

本来、LIFEはご利用者の状態変化を可視化し、ケアの質向上や重度化防止につなげるためのツールです。厚生労働省も、データを活用したPDCAサイクルの推進とケアの質向上を最大の目的としています。だからこそ、LIFEへのデータ入力が加算取得の手続きに偏り、活用が十分に進まない状態だと、LIFE本来の目的であるケアの質向上につながりにくくなります。

以下では、LIFEのフィードバックをどのように生かしていくかについて、実際の現場をイメージしながら整理していきます。本稿を通じて、「フィードバックを現場改善につなげる」という視点を整理していきましょう。

そもそもLIFEとは?

LIFE(Long-term care Information system For Evidence)は、介護事業所や施設からご利用者の状態やケア内容などのデータを収集・蓄積し、その分析結果を介護施設・事業所へフィードバックするしくみです。

例えば、ADL・栄養状態・口腔機能・排泄・褥瘡リスク・認知症関連・リハビリ内容などの情報を提出することで、自施設の傾向や一定期間におけるご利用者の変化、全国の類似施設・事業所との比較などを確認できるようになります。つまり、LIFEは「経験や感覚だけに頼らず、データを根拠にしたケアを考えるためのツール」でもあるのです。

近年のLIFE

ちなみに近年のLIFEは、フィードバック画面の視認性や、利用者情報の時系列比較機能などが改善され、ケアの効果測定が以前よりしやすくなりました。一方で、入力作業が目的化している、現場職員まで情報が共有されていない、数値の意味が分からない、管理者だけが見て終わっているといった理由から、現場によっては、データの共有や数値の解釈が難しく、十分に活用しきれていないケースもあります。

こうした点を踏まえると、データ提出と現場のケアが分断されている状態を改善することが、PDCAサイクルの推進とケアの質向上を実現するうえでの最大のポイントと言えるでしょう。

LIFEフィードバックで最初に見るべきポイント

LIFEフィードバックを見る際、最初から細かい分析をしようとしてしまう方もいる場合があります。けれど、最初の段階で重要なのは変化を見ることです。まずは、食事摂取量や歩行能力、排泄パターン、認知症の症状、離床時間などのデータを確認し、「以前と比べてどう変わったか」を見るようにしましょう。それによって提供しているケアが、利用者の状態にどう影響しているかを客観的に把握できるはずです。

評価のためではなく気付くきっかけへ

また、見るべき視点も「全国平均より上か下か」だけではありません。例えば、全国平均より低かったとしても、3カ月前より改善しているのであれば、現場ケアの成果と捉えられます。逆に全国平均より良い数値でも、急激に低下しているのであれば、何らかの課題が隠れている可能性があります。

このように、LIFEは「評価のためのツール」ではなく、「気づきのためのツール」として使うことで、より有効に活用できます。

LIFEを現場で生かすための基本ステップ

LIFE活用で重要なのは、「データを見て課題を見つける → 現場で改善策を考える → ケアに生かす → 良い結果に向かっているかを再評価する」という流れ、つまりPDCAサイクルを構築することです。

具体的なPDCAサイクルの実践手順は、以下のとおりです。

(1)Plan:計画

例えばLIFEのフィードバックで、「食事摂取量が低下傾向」という結果が出たとします。ここで大切なのは、「なぜか」を現場で検討し、課題を見つけることです。

以下のような項目を現場視点で確認し、原因を整理していきましょう。

姿勢が崩れている?
②食形態が合っていない?
③眠気が強い?
④義歯が合っていない?
⑤口腔状態に問題がある?
⑥食事環境が騒がしい?
⑦食事介助のタイミングが遅れている? など

このときに意識していただきたいのは、「必ず現場職員を巻き込む」ということです。LIFEは、相談員や管理者だけで完結するものではありません。また、実際にご利用者と接している介護職員の気づきは、非常に重要な情報です。

例えば、③⑥⑦に関連する気づきとして、「夕方は眠気が強い」「隣席の音が気になって集中できていない」「最近、スプーンを持つ時間が短くなった」などの声が挙がったとします。こうした小さな気づきは、現場でなければ把握しにくい点です。

このように、実際のデータと現場感覚をつなげることで、より適切な課題の発見・分析につながるはずです。

(2)Do:実行

課題が見えたら、次は改善です。ここで大切なのは、大改革をしようとせず、「小さく」改善してみることです。

現場での合意形成ができていなかったり、理解が浸透していなかったりする場合は、改善を継続することが難しくなります。そして、続かない改善は定着しにくくなります。そうならないための方法として、以下のような工夫が挙げられます。

①食前の臥床時間を確保する
②食事の直前に離床していただく
③食前に入浴は控える
④食事前に覚醒を確認する
⑤座位姿勢を見直す?
⑥食器を変更する
⑦声かけ方法を変える
⑧食席を調整する
⑨食前の口腔体操を追加する など

どれも小さな工夫ですが、LIFE活用で重要なのは完璧な改善ではなく、「実際にできる改善」と「続けられる改善」です。

また、この段階では職員負担を増やしすぎない視点も重要です。

現場では、新しい取り組み=業務が増えると感じやすいため、いまある業務の中でできることや、記録を増やさなくても確認できること、無理なく継続できることから始めるほうが、結果として定着しやすくなります。

(3)Check:評価

(2)で行った改善をケアに生かし、本当に有効だったかを確認します。改善後は、実際に変化があったのかをきちんと評価しましょう。

その際、以下のような項目について、数値だけでなく現場感覚も含めて確認します。

①食事量が増えた
②離床時間が増えた
③表情が増えた
④夜間睡眠が安定した
⑤排泄リズムが整った
⑥拒否が減った など

①②④⑥のように定量化できる項目は、効果を評価しやすいかもしれません。評価にあたっては、LIFEフィードバックが役立ちます。以前と比較して「改善したのか?」「維持できているのか?」「別の課題が出てきたのか?」などを客観的に見ていきましょう。

また、「改善しなかった」という結果も非常に重要で、例えば「食事量改善を目的に食席変更をしたが変化がなかった」のであれば、原因は環境ではなく、口腔機能かもしれないという新たな視点につながります。

つまり、LIFEは「答え」を導く材料ではなく、「考える」ための材料となるのです。

(4)Act:改善

効果があった取り組み(効果が確認できた取り組み)は、しくみ化することが大切です。例えば、申し送りへの反映やケアの手順化、マニュアル化、新人教育への反映など施設全体のしくみにし、共有していきましょう。

ここまでを見てきて、LIFEは単なる提出業務ではなく、施設全体のケア改善ツールだということが、ご理解いただけたかと思います。

LIFE活用は生産性向上にもつながる

LIFEに対しては、「業務が増える」という印象を持っているスタッフも多いと思います。しかし、本来はその逆です。

データを活用できるようになると、「なぜこのケアをしているのか」が明確になり、判断の迷いが減少します。すると、結果的に申し送りの短縮や多職種連携の質向上、ケアの再現性向上などにつながります。つまり、考え直しや、やり直しといった非効率な作業が減り、生産性が向上します。

科学的介護の意義は、「データ管理」をスムーズにすることではなく、より良いケアをより続けやすくすることにあります。だからこそ、LIFEを目的化せず、より良いケアを実現するための手段として活用いただければ幸いです。

管理者に求められる視点

LIFE活用を進める上で、管理者の役割は非常に重要です。特に重要なのは、「現場を責めないこと」ではないでしょうか。数値が悪かったときに、「ちゃんと見てください」、「入力ミスではないでしょうか」など、現場を責めるようなかかわり方になってしまうと、スタッフは疲弊してしまいます。

そうならないためには、「なぜだろう?」「どうすれば良くなるだろう?」とともに考える姿勢がとても大切です。LIFEは現場を監視・管理するためのツールではありません。現場といっしょにケアを良くしていくためのツールとして活用していきましょう。

その際、管理者は数値だけを見ないこと、現場の背景を聞くこと、小さな改善を認め、称賛を言葉にすることも意識すると、現場の前向きな取組につながりやすくなります。

まとめ

LIFEはご利用者を理解するためのツールです。そして、システムを活用するにあたって、本当に重要なのは、そのデータを使って「ご利用者の生活をどう良くするか」を考えることです。

最近元気がないことに気づき、食事量が減ったことに気づき、表情が少ないことに気づき、歩く機会が減ったことに気づき、会話量が減っていることにも気づく。こうした小さな変化を大切にしながら、現場で話し合い、改善し、ご利用者の生活をより良いものにしていく。その積み重ねこそが、科学的介護の本質ではないでしょうか。

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この記事のライター

・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事

介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士

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