本日のお悩み:LIFE(科学的介護情報システム)フィードバックの活用方法
はじめに
■執筆者/専門家
『介護福祉は究極のサービス業』 私たちは、障がいや疾患を持ちながらも、その身を委ねてくださっているご利用者やご家族の想いに対し、人生の総仕上げの瞬間に介入するという、責任と覚悟をもって向き合うことが必要だと感じています。 目の前のご利用者に『生ききって』頂く。 私たち介護職と出会ったことで、より良き人生の総仕上げを迎えて頂ける為のサポートをさせていただく事が、私たちに課せられた使命だと思っています。
■LIFEの現状
また、現場のスタッフの中には、「他施設は実際どのように活用しているのだろうか。」「フィードバックを現場改善まで落とし込めている施設はあるのだろうか。」「提出後のデータを、現場でどう読み解けば良いか分からない」などの疑問を感じている方も少なくないと思います。
■今後の展望
本来のLIFEの役割
以下では、LIFEのフィードバックをどのように生かしていくかについて、実際の現場をイメージしながら整理していきます。本稿を通じて、「フィードバックを現場改善につなげる」という視点を整理していきましょう。
■そもそもLIFEとは?
例えば、ADL・栄養状態・口腔機能・排泄・褥瘡リスク・認知症関連・リハビリ内容などの情報を提出することで、自施設の傾向や一定期間におけるご利用者の変化、全国の類似施設・事業所との比較などを確認できるようになります。つまり、LIFEは「経験や感覚だけに頼らず、データを根拠にしたケアを考えるためのツール」でもあるのです。
■近年のLIFE
こうした点を踏まえると、データ提出と現場のケアが分断されている状態を改善することが、PDCAサイクルの推進とケアの質向上を実現するうえでの最大のポイントと言えるでしょう。
LIFEフィードバックで最初に見るべきポイント
■評価のためではなく気付くきっかけへ
このように、LIFEは「評価のためのツール」ではなく、「気づきのためのツール」として使うことで、より有効に活用できます。
LIFEを現場で生かすための基本ステップ
具体的なPDCAサイクルの実践手順は、以下のとおりです。
■(1)Plan:計画
以下のような項目を現場視点で確認し、原因を整理していきましょう。
②食形態が合っていない?
③眠気が強い?
④義歯が合っていない?
⑤口腔状態に問題がある?
⑥食事環境が騒がしい?
⑦食事介助のタイミングが遅れている? など
例えば、③⑥⑦に関連する気づきとして、「夕方は眠気が強い」「隣席の音が気になって集中できていない」「最近、スプーンを持つ時間が短くなった」などの声が挙がったとします。こうした小さな気づきは、現場でなければ把握しにくい点です。
このように、実際のデータと現場感覚をつなげることで、より適切な課題の発見・分析につながるはずです。
■(2)Do:実行
現場での合意形成ができていなかったり、理解が浸透していなかったりする場合は、改善を継続することが難しくなります。そして、続かない改善は定着しにくくなります。そうならないための方法として、以下のような工夫が挙げられます。
②食事の直前に離床していただく
③食前に入浴は控える
④食事前に覚醒を確認する
⑤座位姿勢を見直す?
⑥食器を変更する
⑦声かけ方法を変える
⑧食席を調整する
⑨食前の口腔体操を追加する など
また、この段階では職員負担を増やしすぎない視点も重要です。
現場では、新しい取り組み=業務が増えると感じやすいため、いまある業務の中でできることや、記録を増やさなくても確認できること、無理なく継続できることから始めるほうが、結果として定着しやすくなります。
■(3)Check:評価
その際、以下のような項目について、数値だけでなく現場感覚も含めて確認します。
②離床時間が増えた
③表情が増えた
④夜間睡眠が安定した
⑤排泄リズムが整った
⑥拒否が減った など
また、「改善しなかった」という結果も非常に重要で、例えば「食事量改善を目的に食席変更をしたが変化がなかった」のであれば、原因は環境ではなく、口腔機能かもしれないという新たな視点につながります。
つまり、LIFEは「答え」を導く材料ではなく、「考える」ための材料となるのです。
■(4)Act:改善
ここまでを見てきて、LIFEは単なる提出業務ではなく、施設全体のケア改善ツールだということが、ご理解いただけたかと思います。
LIFE活用は生産性向上にもつながる
データを活用できるようになると、「なぜこのケアをしているのか」が明確になり、判断の迷いが減少します。すると、結果的に申し送りの短縮や多職種連携の質向上、ケアの再現性向上などにつながります。つまり、考え直しや、やり直しといった非効率な作業が減り、生産性が向上します。
科学的介護の意義は、「データ管理」をスムーズにすることではなく、より良いケアをより続けやすくすることにあります。だからこそ、LIFEを目的化せず、より良いケアを実現するための手段として活用いただければ幸いです。
管理者に求められる視点
そうならないためには、「なぜだろう?」「どうすれば良くなるだろう?」とともに考える姿勢がとても大切です。LIFEは現場を監視・管理するためのツールではありません。現場といっしょにケアを良くしていくためのツールとして活用していきましょう。
その際、管理者は数値だけを見ないこと、現場の背景を聞くこと、小さな改善を認め、称賛を言葉にすることも意識すると、現場の前向きな取組につながりやすくなります。
まとめ
最近元気がないことに気づき、食事量が減ったことに気づき、表情が少ないことに気づき、歩く機会が減ったことに気づき、会話量が減っていることにも気づく。こうした小さな変化を大切にしながら、現場で話し合い、改善し、ご利用者の生活をより良いものにしていく。その積み重ねこそが、科学的介護の本質ではないでしょうか。
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・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士