本来、介護の仕事は職種や立場を越えて情報を共有し、職員同士が同じ方向を向いて行う必要があります。しかし、情報共有のルールや判断基準がそろっていないと、連携がうまくいかず、チーム全体の業務負担が増えてしまうこともあります。
こうした背景を踏まえ、この記事ではチームケアの基本的な考え方やメリット・デメリット、チームケアの進め方、実践のポイントなどを解説します。実際のチームケアの事例も紹介するので、日々のケアや連携を見直す際にお役立てください。
チームケアの基本を簡単に解説
■執筆者/専門家
医療専門大学を卒業後、回復期病棟を経験しつつ、介護老人保健施設に10年以上勤務。高齢の利用者さんの日常生活動作(ADL)や認知症リハビリに力を入れ、一人ひとりに寄り添った支援を大切にしている。ライターとしても活動しており、医療と介護の現場で培った知識と経験を活かし、健康や医療に関する記事を執筆している。
■チームケアの目的とは
■介護現場でチームケアが求められる背景
チームケアで介護職員が大切にしたい心得
■利用者さん中心で考え、支援の方向性をずらさない
■小さな気づきを共有する
■専門性を生かし、役割を尊重する
チームケアのメリット・デメリット
■チームケアのメリット
例えば、利用者さんの食事量が、いつもより少ないことに気づいたとしましょう。この情報をチームで共有しておけば、次に担当する職員(あるいは他職種)も同じ前提で対応できます。このように、担当者が変わっても対応がぶれにくい点は、チームケアの大きな強みです。
また、判断や責任を1人に集中させず、チーム全体で引き受けられるので、それぞれの現場の負担を減らすことができます。負担が軽減できれば、心理的安全性も高まるでしょう。
■チームケアのデメリット
例えば、情報共有のルールが決まっていない現場では、利用者さんの体調変化に関する情報が職員間で共有されにくく、対応が遅れかねません。共有すべき情報が整理されていないと、必要以上に記録や申し送りが増え、負担に感じる職員が出てくる可能性もあります。
チームケアを進めるための3ステップ
■1. 現場の課題を整理する
まずは、次のような形で、現場で起きている困りごとを書き出してみましょう。
・状態変化があったのに、誰に相談すべきかわからず、対応が遅れてしまっている
・職員によってケアの判断が異なり、利用者さんが混乱している
■2. 目的を見える化する
■現状と理想のギャップを整理する
改善の目的を見える化するためにも、「現状」と「理想」の間にどのようなギャップがあり、そのギャップを埋めるために何を目指すのかを整理しましょう。
例えば、「申し送りがうまく伝わらない」という課題があった場合、事実だけを捉えるだけでなく、「情報が共有されないことでどんな支障が出ているのか」「本来、申し送りはどのような状態であるべきか」といった視点で、課題を言語化することが大事です。
■チームが納得できる目的設定を行う
改善の目的を明確にすることで、チーム全体が同じ方向を向き、納得感をもって支援に取り組めるので、ぜひ実践してください。
■3. チームとして目指す方向(目標)を共有する
ここで役立つのが、5W1Hの視点で整理する考え方です。
・Why(なぜ、何のために):どの業務を、何のために行うのか
・Who(誰が):誰が中心となって進めるのか
・When・How(いつまでに、どのように):いつまでに、どのように進めるのか
介護現場でのチームケア実践ポイント
■介護職員とリーダー、それぞれの役割を理解する
■介護職員に求められる役割
■リーダーの役割
■チームケアを支える2つの柱:情報共有と判断基準の統一
次の2点を整理して、職員間の認識のずれを防ぐようにしましょう。
■1.情報共有のルール化(5W1Hの明確化)
・誰に(報告先): 現場リーダー、看護師、主治医など
・何を(項目): 食事・排泄・睡眠の状態、転倒リスクなど
■2. 判断基準と相談フローの確立
・緊急時の対応: 夜間や少人数体制時の連絡・対処ルート
チームケアを支える研修の役割
■なぜ研修がチームケアに必要なのか
その結果、次のような点に迷いが生じることも少なくありません。
・どこまでを現場判断で対応してよいか
・どの段階で相談や共有が必要か
■研修でそろえるべき3つの基準
介護現場でのチームケア事例
■課題:職員によって記録内容が異なっていた
その結果、次に対応する職員が、「どの程度の変化なのか」「すでに共有や相談が必要な状態なのか」と判断に迷うことが多く、確認や聞き直しが必要になったり、対応や判断にばらつきが出たりという点が課題となっていました。
■改善策:記録と共有ルールを統一した
・事実が分かるように、客観的な内容を具体的に記載する
・共有や相談が必要な場合は、その旨を明確にする
このように、申し送りや記録の書き方をそろえるといった小さな工夫だけでも、チーム全体の共通認識が整い、他職種との連携を進めやすくなるのです。
まとめ:できることから始めよう
小さな工夫を重ねていくことが、チーム全体の動きを整え、よりよいケアにつながっていくはずです。
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