本日のお悩み:2026年8月からの食費の基準額改定について
なぜ今、介護業界で「食費+100円」が注目されているのか
■執筆者/専門家
おかげさま社労士事務所 代表 元地域包括支援センター センター長 社会保険労務士、社会福祉士・主任介護支援専門員・介護福祉経営士1級・ ファイナンシャルプランナー2級(AFP)・簿記3級
今年のはじめから、現場の経営者様や施設長様、そしてご家族様から、2026年(令和8年)の制度改正に関する相談が増えてきました。特にみなさんが敏感になられているのが「お金」に直結する部分、すなわち「食費基準額の引き上げ(1日あたり100円)」についてです。
「また値上げか……」とため息をつきたくなる気持ちは、痛いほどわかります。しかし、この+100円の背景には、介護業界が直面している「待ったなし」の現実があります。
今回は、2026年8月から予定されている「食費の基準費用額」の引き上げについて、その仕組みや背景、施設・利用者双方にとってのメリット・デメリットを、私の視点を交えて徹底解説します。
そもそも何が変わるのか?食費基準額改定の全体像
■「基準費用額」とは?
現在の基準費用額(2024年度〜)は、施設の種類やケアの内容によって異なりますが、おおむね日額1,445円(朝・昼・夕の3食分)とされています。そして、2026年8月からはこれに+100円され、約1,545円になる見込みです。
「食費+100円」は誰にどんな影響があるのか
■1.補足給付(特定入所者介護サービス費)を受けている方
■2.全額自己負担の方(第4段階)
なぜ今「+100円」なのか?値上げが避けられない理由
■1.止まらない食材費・光熱費の高騰
■2.基準額と実勢価格の乖離
・品数の削減
・調理スタッフの人件費抑制
・施設側の持ち出し(赤字補填)
■「施設側の持ち出し」が引き起こしていた本当の問題
今回の+100円は、こうした「隠れた赤字」を解消し、物価上昇に追いつくための正常化措置と言えます。
施設側・利用者側のメリット・デメリット
■施設側(事業者)にとっての影響
■メリット
食材費高騰による「持ち出し」が減り、健全な経営に近づきます。
2.品質の維持・向上:
限界を超えたコストカットがなくなり、栄養バランスや彩りのある食事を提供し続けられます。
3.人材確保への波及:
食費部門の赤字が減れば、その分を介護職員や調理スタッフの処遇改善に回す余地が生まれます。
■デメリット
利用者様やご家族への料金改定の説明に多大な労力を要します。
2.入居控えのリスク:
地域によっては、料金上昇により選ばれにくい施設になる懸念があります。
3.事務負担の増加:
契約書の再締結や重要事項説明書の変更など、2026年8月に向けた事務作業が膨大になります。
■利用者さん・ご家族にとっての影響
■メリット
極端なコストカットによる「質素すぎる食事」を回避でき、生活の楽しみである「食」の質が守られます。
2.施設の存続:
施設が経営難で倒産・撤退するリスクが減り、長く安心して住み続けられます。
■デメリット
月額で約3,000円(100円×30日)の負担増は、年金暮らしの世帯には大きな痛手です。
2.補足給付への不安:
低所得者層の場合、どこまで公費でカバーされるか不透明な部分があります。また、制度が複雑化して理解しにくくなります。
専門家の視点-社労士として現場を見てきた立場から
■「+100円」は高いか、安いか?
■食事の質が落ちると、施設全体に何が起きるのか
入居者様にとって、一日の最大の楽しみは食事です。体が思うように動かなくなっても、おいしいものを食べる喜びは残ります。その食事を、コストのために「ただの栄養補給」にしてしまっては、介護施設としての尊厳が失われかねません。
■「見えないコスト」への理解
つまり、食費の値上げを拒むことは、巡り巡って「ケアの質(職員の余裕)を奪うこと」につながってしまうのです。
■施設経営者様への提言
そうしたプラスアルファの還元があって初めて、ご家族は納得してくださいます。逆に、納得感のない値上げは信頼関係を壊しかねません。
まとめ|2026年8月に向けて今から準備すべきこと
■「+100円」を意味ある改定にするために
そして、料金改定に向けた説明準備を今から始めてください。利用者側にとって負担増は痛手ですが、丁寧に準備を進めて、「安心安全な食事とケアを受けるための必要経費」としてご理解いただきましょう。
■食事は、介護現場の「尊厳」そのもの
この改定が、双方にメリットをもたらし、持続可能な介護の未来につながることを、一人の社労士として切に願います。今のうちから、2026年の夏を見据えて準備を進めていきましょう。
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おかげさま社労士事務所 代表
元地域包括支援センター センター長
社会保険労務士、社会福祉士・主任介護支援専門員・介護福祉経営士1級・
ファイナンシャルプランナー2級(AFP)・簿記3級