地域包括ケアシステムにおける医療・介護連携とは?

地域包括ケアシステムにおける医療・介護連携とは?

地域包括ケアシステムにおいて重要視される医療と介護の連携。その必要性や背景、事業所・利用者双方のメリットを専門家がわかりやすく解説します。【執筆者/専門家:脇 健仁】


\あなたにぴったりの求人が見つかる/
「介護職・ヘルパー」の求人を見る

本日のお悩み:地域包括ケアシステムについて知りたい

地域包括ケアシステムについて(特に医療と介護の連携)教えてください。
なぜ、医療と介護の連携は求められるのか連携のメリット(事業所視点・利用者さん視点)などを
ご教示いただけますと幸いです。

地域包括ケアシステムにおける「連携」とは何か

■執筆者/専門家

脇 健仁

https://mynavi-iryofukushi.jp/media/users/22

ゆりかごホールディングス株式会社 代表取締役 株式会社ゆりかご 代表取締役 茨城県訪問介護協議会 副会長 茨城県難病連絡協議会 委員 水戸在宅ケアネットワーク 世話人 茨城県介護支援専門員協会 水戸地区会幹事 茨城県訪問看護事業協議会 監事 水戸市地域包括支援センター運営協議会 委員 水戸市地域自立支援協議会全体会 委員 介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント 日本社会事業大学大学院 福祉マネジメント研究科修了(福祉マネジメント修士) 聖路加国際大学看護リカレント課程 認知症看護認定看護師課程 在籍中 介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・看護師・介護支援専門員・相談支援専門員・FP2級

地域包括ケアシステムにおける「連携」とは、どのようなことを指すのでしょう。多くの方は、まず情報共有を思い浮かべるかもしれません。

■連携の第一歩としての情報共有

情報共有を考える場合は、「介護職と医療職間で情報提供が十分に行われているか」が一つのポイントとなります。例えば、介護保険を申請する際は、主治医意見書が必要です。ケアマネジャーはこの主治医意見書を参照し、それを踏まえてケアプランを作成しますが、作成したケアプランを参考元である主治医へフィードバックしているでしょうか。

■医療職・介護職それぞれに見られる情報提供の課題

逆に、「医療職から介護職への情報提供」はどうでしょう。医療従事者は医療的情報を自分たちの専門用語のまま、家族や介護職に伝えてはいないでしょうか。仮に、難解な専門知識をそのまま提示したとしたら、十分な説明責任を果たしているとは言えないのではないでしょうか。

これらは一例に過ぎませんが、情報共有のあり方については、介護職・医療職の双方に改善すべき課題が存在すると考えられます。

連携は情報共有だけでは不十分な理由

では、適切な情報提供さえできれば、「連携」と言えるのか。結論から言えば、それだけでは不十分です。連携において最も重要なのは、利用者・患者が地域で暮らすうえでの課題を整理し、関係職種間で共通課題として認識することです。

■真の連携に必要な「共通課題」の認識

利用者・患者には望む暮らし(理想)があり、現状があります。この両者のギャップを「問題」と捉えた場合、問題を解決するための具体的な取り組み(行動テーマ)が「課題」です。そして、課題についての共通理解を持つことが、真の連携の出発点となります。

■共通課題が見えると役割分担が明確になる

共通課題が認識されると、医療職の視点からの解決方法、介護職の視点からの解決方法がそれぞれ明確になります。連携を行うにあたっては、まずそれらを相互に理解することが重要です。また、協働して解決を図る部分については、相互補完が可能になるよう役割分担を行う必要があります。

各専門領域については、それぞれの専門性を発揮して解決に向けて行動すればよいのですが、他職種の動きを理解し合うことも、連携の質を高めるうえでは不可欠なのです。

具体例で考える医療・介護連携

話を情報提供に戻しましょう。先に述べた情報提供方法の改善は、いわば「手段」の話です。しかし、連携においては、「目的」の明確化も極めて重要になります。

■医療的視点から見た服薬管理

例として、服薬管理について考えてみましょう。医療的視点では、正確に服用されたことを前提として、その効果や体調変化を評価することが求められます。期待した効果が得られなければ、薬剤の変更や用量調整が検討され、医師と薬剤師が客観的データに基づいて対応を判断します。

■生活に密着した介護職の役割

一方、実際の服薬場面では、次の評価が不可欠です。
・服用しやすさ
・嚥下機能
・認知機能
・服薬の実施状況
・服薬への動機づけ

これらの領域では、リハビリ職の関与も重要ですが、 日常生活に最も近い位置にいる介護職も非常に大きな役割を担います。

■「理想・問題・課題」で整理する服薬支援

この点を先ほどの問題と課題の枠組みに当てはめると、次のようになります。
理想:健康的な状態の維持
問題:疾病により健康状態が損なわれている
課題:適切な服薬管理の実現

この課題を解決するために多職種が関与すれば、より効果的な問題解決が可能になるでしょう。

医療・介護連携がもたらすメリット

ここまでを踏まえるなら、介護・医療連携が利用者・患者にもたらす最大のメリットは、「理想の暮らしに効果的に近づけること」だと言えます。また、事業所にとっても、自らの活動が課題解決のどの部分を担っているのかが明確になり、組織の活動が有効に機能しているかを評価できるようになります。

社会保障制度の視点から考える医療・介護連携の必要性

介護・医療連携の必要性を考えるにあたっては、社会保障制度にも目を向けなければなりません。

■連携不足が引き起こす非効率な支援の例

例えば、医師が「患者は処方通りに服薬している」と信じて降圧剤を処方したとします。けれど、実際には服薬が不十分で、血圧が下がらなかった。その場合はどうなるでしょう。医師は「薬効が弱い」と判断し、より強力な薬剤に変更する可能性があります。その後、介護職の関与により服薬が確実に実施されるようになったら、今度は血圧が過度に低下し、転倒リスクが高まる可能性があります。

これは利用者・患者、医療職、介護職のすべてにとって非効率な結果です。このような事例は、ポリファーマシー問題とも関連して、現場で少なからず見受けられます。

■人口減少社会における連携の重要性

しかし、医療・介護が社会保障費によって支えられている以上、こうした非効率は是正する必要があります。この点は、単なる現場改善にとどまらず、社会保障制度の持続可能性にも直結する重要課題と言えるでしょう。現役世代が減少し、高齢者が増加する現代において、無駄を最小化する視点はどのような活動にも不可欠なのです。

まとめ:今後の地域包括ケアに欠かせない「医療・介護連携」

私たちは人口減少社会の中で生き、誰もが加齢します。だからこそ、医療と介護が適切に連携し、介護保険制度を将来にわたって維持していかなければなりません。現在の利用者・患者の生活を支えるために、そして私たち自身の未来のためにも、介護・医療連携は極めて重要な意味を持つものと考えます。

■あわせて読みたい記事

「福祉の仕事」の選択肢はこんなにある! 25種の仕事内容や必要な資格を解説! | ささえるラボ

https://mynavi-iryofukushi.jp/media/articles/1336

「福祉の仕事」には、介護職のように現場で利用者さんの介助にあたる職種のほかにも、相談員や事務員など、さまざまな職種があります。福祉業界を目指す人に向けて、25種の福祉の仕事を詳しく解説します。

介護士と看護師の違いとは?仕事内容・資格・給与・キャリアパス・やりがいなど徹底比較! | ささえるラボ

https://mynavi-iryofukushi.jp/media/articles/1384

高齢化社会が進む日本で、常に高い人気を誇る職種と言えば、介護職と看護師です。同じ職場で働くことも多い両者ですが、仕事内容や給与、必要な資格の取得方法、キャリアパスにはどんな違いがあるのでしょうか?【執筆者:ささえるラボ編集部】

\あなたにぴったりの求人が見つかる/
「介護職・ヘルパー」の求人を見る

この記事のライター

ゆりかごホールディングス株式会社 代表取締役
株式会社ゆりかご 代表取締役
茨城県訪問介護協議会 副会長
茨城県難病連絡協議会 委員
水戸在宅ケアネットワーク 世話人
茨城県介護支援専門員協会 水戸地区会幹事
茨城県訪問看護事業協議会 監事
水戸市地域包括支援センター運営協議会 委員
水戸市地域自立支援協議会全体会 委員
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
日本社会事業大学大学院 福祉マネジメント研究科修了(福祉マネジメント修士)
聖路加国際大学看護リカレント課程 認知症看護認定看護師課程 在籍中

介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・看護師・介護支援専門員・相談支援専門員・FP2級

関連する投稿


高齢者がエアコンを嫌がる理由と対策とは?熱中症を防ぐために介護職員が実践したい声かけのポイント

高齢者がエアコンを嫌がる理由と対策とは?熱中症を防ぐために介護職員が実践したい声かけのポイント

介護現場で働く職員のかたからのお悩みです。訪問介護、グループホーム、居宅介護⽀援事業所などに従事した経験を持ち、介護関連のセミナーや講演に数多く登壇している羽吹さゆりさんにご回答いただきました。本記事では、高齢者のかたがエアコンをいやがる理由と対策について、詳しく解説していきます。【執筆者/専門家:羽吹 さゆり】


日本は超高齢社会に│高齢社会との違いや問題点、医療・介護現場の現状や対策を解説

日本は超高齢社会に│高齢社会との違いや問題点、医療・介護現場の現状や対策を解説

日本は世界に先駆けて、65歳以上の割合が21%を超える「超高齢社会」へと突入しました。それに伴い、医療・介護のニーズは、量と質の両面で急拡大しており、現場では業務負担の増大や人材不足が深刻な課題となっています。本記事では、「超高齢社会」の定義を整理した上で、医療・介護現場で顕在化している課題と、現場で行われている対応策について解説します。【執筆者:ささえるラボ編集部】


介護施設の外国人雇用完全ガイド|採用・受け入れの流れと定着のポイント

介護施設の外国人雇用完全ガイド|採用・受け入れの流れと定着のポイント

介護施設での外国人雇用を検討している方向けに、採用・受け入れの流れや特定技能・在留資格「介護」・EPA・育成就労制度の違い、外国人介護人材に選ばれる職場づくりのポイントを専門家が解説します。【執筆者/専門家:伊藤 浩一】


雨の日の訪問介護で気を付けることとは?ヘルパーが押さえたい4つのポイントを解説

雨の日の訪問介護で気を付けることとは?ヘルパーが押さえたい4つのポイントを解説

雨の日の訪問介護では、移動中の事故や利用者の転倒、体調変化への配慮が欠かせません。本記事では、訪問介護で働くヘルパーが雨の日に意識したい持ち物、安全対策、利用者対応のポイントを詳しく解説します。【執筆者/専門家:牧野 裕美】


AIが介護職の仕事に与える影響とは?明確になる人の役割も徹底解説

AIが介護職の仕事に与える影響とは?明確になる人の役割も徹底解説

AIの進化によって「仕事が奪われる」という不安が語られる今、介護の現場ではまったく異なる変化が起きています。記録や事務といった業務はAIが担う一方で、人にしかできない役割である「判断する力」や「察する力」の価値が、これまで以上に浮き彫りになっているのです。AI時代において、介護という仕事はどのように変わり、何が専門性として残るのか、その本質に迫ります。【執筆者/専門家:伊藤 浩一】


マイナビ医療福祉キャリア 閲覧ランキング
【北海道・東北】
【関東・甲信越】
【北陸・東海】
【関西・中四国】
【九州・沖縄】

最新の投稿


生活介護の「送迎加算」とは?算定要件と現場職員が知っておきたい注意点

生活介護の「送迎加算」とは?算定要件と現場職員が知っておきたい注意点

生活介護の送迎加算(Ⅰ)(Ⅱ)について、算定要件や単位数、重度利用者が多い事業所への加算、片道算定の考え方を解説。自宅以外への送迎や外部委託、同一敷地内での取り扱いに加え、請求ミスを防ぐ記録管理、安全な送迎体制、職員の労働時間管理まで、社労士の視点でわかりやすく紹介します。【執筆者/専門家:山本 武尊】


第211話 「見守り」/ほっこり介護マンガ

第211話 「見守り」/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


第210話 「読書の秋」/ほっこり介護マンガ

第210話 「読書の秋」/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


チームケアとは?介護職員が知っておくべき基本と心得・実践ポイントを解説

チームケアとは?介護職員が知っておくべき基本と心得・実践ポイントを解説

チームケアとは、利用者さんの目標達成に向けて多職種が連携する介護の重要な考え方です。本記事ではチームケアの意味や目的、メリット・デメリット、情報共有の方法、介護職員とリーダーの役割、現場で役立つ実践ポイントや事例をわかりやすく解説します。【執筆者/専門家:奏かえで】


第209話 「拒否」/ほっこり介護マンガ

第209話 「拒否」/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


マイナビ医療福祉キャリア
「マイナビ医療福祉キャリア」は、医療・福祉・介護職に特化した中途、パート向け求人サイトです。
医師、看護師、薬剤師、歯科医師、介護職・ヘルパー、保育士、リハビリ職、技術職、事務職など、専門性の高い職種に特化した求人情報を多数掲載しています。
雇用形態や詳細条件での求人検索もできるのであなたにぴったりな職場が見つかります!
【職種から求人・転職情報を探す】