本日のお悩み:利用者さんと外出する際のリスク管理について知りたい
春のお出かけが増える時期にこそ必要な視点
■執筆者/専門家
『介護福祉は究極のサービス業』 私たちは、障がいや疾患を持ちながらも、その身を委ねてくださっているご利用者やご家族の想いに対し、人生の総仕上げの瞬間に介入するという、責任と覚悟をもって向き合うことが必要だと感じています。 目の前のご利用者に『生ききって』頂く。 私たち介護職と出会ったことで、より良き人生の総仕上げを迎えて頂ける為のサポートをさせていただく事が、私たちに課せられた使命だと思っています。
そのため、この時期は外出レクリエーションやお花見、近隣への散策など、季節を感じていただける行事を企画する機会が多くなりますよね。しかし、外出の機会が増えれば、転倒や体調変化などのリスクにも、これまで以上に目を向ける必要があります。だからこそ、お出かけの際のリスク管理については、きちんと理解しておく必要があるでしょう。
■気候が良い季節ほど見落とされやすいリスク
春先特有のリスクを知ることが第一歩
春先に見られる代表的なリスクとしては、次のようなものがあります。
2.路面状況の変化による転倒(地域によって差があります)
3.脱水症状
4.花粉症による呼吸器症状
5.疲労の蓄積
6.循環器系の急変(血圧の変動など)
■体調変化を自覚しにくいという特性
転倒リスクは春こそ高まる
また、公園には階段や芝生の凹凸も多く、普段の生活環境とは違った歩きにくさがあります。そして、そうしたちょっとした環境の変化が、転倒につながることも少なくありません。
■事前にできる対策
2.段差や坂道、トイレの位置を把握しておく
3.舗装状況や足元の状態を確認する
4.歩行補助具(杖・歩行器・車椅子)を点検する
服装調整と体温管理は必須
2.首元を冷やさない工夫をする
3.帽子で直射日光を防ぐ
4.吸汗性のあるインナーを選ぶ
5.滑りにくく履き慣れた靴を選ぶ
脱水・疲労の見逃しに注意
外出の前後には、「少し水分を取ってから外に行きましょう」「今日はたくさん動いたので、しっかり水分を取ってくださいね」などの声かけをし、水分摂取につなげるように意識してください。
■外出中に確認するべき身体の変化
2.息切れしていないか
3.歩く速さが急に落ちていないか
4.足がもつれる様子がないか
5.「疲れた」と言葉にできているか
6.汗の量が増えていないか
■「大丈夫」を鵜呑みにしない判断
春先に多い体調変化と病気
特に、糖尿病や心疾患などの持病をお持ちの利用者さんは、歩行量が増えることで低血糖や息切れが起こる可能性があります。外出の際には、既往歴や普段の体調をあらかじめ確認し、いつも以上に注意して見守ることが大切です。
■外出前に確認しておきたいこと
2.食事量や水分量
3.バイタルサイン
4.服薬状況
5.医師からの外出制限の有無
道中で体調が急変したら
2.施設の電話番号
3.保険証のコピー
4.携帯電話
5.簡易救急セット
■落ち着いて対応するための事前共有
2.意識・呼吸・顔色などの状態を確認する
3.必要に応じて救急要請を行う
4.施設や上司へ連絡する
外出レク成功の鍵は「職員間の連携」
2.誰がどのご利用者さんを担当するか
3.休憩ポイント
4.中止を判断する基準
■思い込みが事故を招くリスク
「行かない」ではなく、「安全に行う」ことが大事
■外出がもたらす生活の質への影響
それを踏まえるなら、外出は豊かな生活やその人らしい幸せを支えるうえで、欠かせない活動だといえます。
■制限しすぎがQOL低下につながることも
外出の価値を理解したうえで、「どうすれば安全に実施できるか」を考え続けることこそが、専門職としての大切な姿勢ではないでしょうか。
職員の価値観の違いにどう向き合うか
「人手が少ない日は難しいのではないでしょうか」
「事故が起きた場合の責任も気になります」
「楽しみにしている利用者さんがいる」
■コンフリクトマネジメントの重要性
2.どこにリスクがあると考えているのか
3.どうすれば安心して実施できるのか
ヒヤリハットが安全文化をつくる
■振り返りの3つの視点
2.どこに危険があったのか
3.次にどうすれば防げるのか
安全と生活の質を両立させるのが介護の専門性
2.環境リスクを分析する視点
3.職員間の連携
4.理念に基づいた判断
5.ヒヤリハットの活用
まとめ:「やめる」ではなく「実現する」外出支援
利用者さんが外の空気に触れ、季節を感じ、表情がやわらぐ瞬間に立ち会えることは、介護という仕事の大きなやりがいです。
■安心と笑顔を支える積み重ね
小さな準備や声かけ、職員同士の連携の積み重ねによって、利用者さんの安心と笑顔を守っていきたいですね。これから迎える春が、みなさんにとっても、利用者さんにとっても、温かく穏やかな時間になりますように。
ご質問ありがとうございました。
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・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士