本日のお悩み :特養の経営状況が厳しい理由を知りたい
高齢化が進んでいるにもかかわらず、なぜ経営は難しくなるのでしょうか。
高齢化が進んでいるのに、なぜ特養の経営は厳しいのか?
■執筆者/専門家
茨城県介護福祉士会副会長 特別養護老人ホームもくせい施設長 いばらき中央福祉専門学校学校長代行 NPO法人 ちいきの学校 理事 介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント 介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)
■回答
■高齢者は増えているのに、経営が安定しない理由
しかし、需要が増えることと、施設経営が良くなることは同じではありません。特養の主な収入源は、公的に価格が定められた介護報酬であり、民間サービスのように、需要が増えたからといって自由に価格を上げられるわけではありません。つまり、人件費や光熱費、給食費、建築コストなどが上がっても、それを利用料に転化しにくい構造にあるのです。
■制度とコスト構造が追いついていない現実
その厳しさは、数字にもはっきり表れています。福祉医療機構(WAM)の2025年度調査では、従来型は45.2%、ユニット型でも31.5%が赤字となっており、特養の経営難は一部の施設だけでなく、業界全体の課題です。
ここまでを踏まえるなら、高齢化が進んでいるのに経営が苦しいのは、「利用者がいないから」ではなく、支えるしくみとコスト構造が追いついていないからだと言えるでしょう。
介護報酬の制約に加えて、人材不足も大きな壁になっている
■人材不足から生じる現場への影響
■人手不足が経営をさらに苦しくする構造
外部環境だけに原因を求めないという視点
■稼働率のわずかな差が経営に与える大きな影響
もちろん、稼働率を高めることは簡単ではありません。入院、看取り、入退所のタイムラグ、職員配置基準、家族調整など、現場には避けられない事情もたくさんあります。それでも、「90%でやむを得ない」と考えるのか、「95%、できればそれ以上を目指す」と考えるのかで、経営の景色は大きく変わります。
これからは、ただ待っていれば入居者が集まる時代ではありません。利用者や家族に選ばれる施設になる視点が、これまで以上に重要になっています。
厳しい状況のなかでも、利用者や職員に「選ばれる施設」になることが大事
現状のまま魅力を発信できなければ、利用者からも求職者からも選ばれにくくなり、人手不足が進みます。その結果、稼働率が下がり、経営はさらに厳しくなる。現代は、そうした流れが決して珍しいものではないのです。
■小規模施設ほど求められる積み重ねの経営
まとめ:これからの特養経営に求められる姿勢とは
これからの特養経営に必要なのは、「厳しい時代だから仕方がない」と受け身になることではなく、課題を直視しながら、地域のなかで利用者にも職員にも選ばれる施設を作っていくことではないでしょうか。
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茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)