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介護職のNGワードとは?スピーチロックを防ぐ言葉の選び方と関わり方

介護職のNGワードとは?スピーチロックを防ぐ言葉の選び方と関わり方

介護現場で気づかず使ってしまうNGワードとは?「スピーチロック」や不適切ケアの具体例、言葉の言い換え方、現場で意識したいポイントまで、ケアの質を高めるための考え方を解説します。【執筆者/専門家:大関 美里】


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本日のお悩み:介護職のNGワードとは

介護現場で介護職が使ってはいけない言葉や、心掛けたほうが良いポイントを教えてください。

介護現場で気をつけたい言葉と関わり方〜「言葉の力」を見直すために

執筆者/専門家

大関 美里

https://mynavi-iryofukushi.jp/media/users/13

社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士 介護現場の職員の後、祖父の在宅介護での後悔と、自身の介護うつ経験から、そのきっかけになった排泄の支援を追求すべくおむつメーカーへ転職。 1000人以上の方のおむつ交換に触れ、介護する側もされる側も双方が「シッカリ出して、スッキリ生きる」ことが、より良い人生に繋がる。気持ち良く「出す」ことをサポートすることで良い循環が生まれることを実感する。

忙しい現場の中で、つい出てしまいそうになる言葉に自問自答されている介護職の方からのお悩みです。今回は、介護現場での勤務経験に加え、ご自身も家族介護での葛藤や悩みを深く経験されてきた大関 美里さんにご回答いただきました。無意識の言葉が相手を縛ってしまう「スピーチロック」の怖さや、明日から実践できる「言葉の言い換え」のポイントを提示していただきます。

誰もが経験する言葉づかいの悩み

介護現場で使ってはいけない言葉とは何か。この問いを持てること自体、非常に重要な点だと考えます。忙しい現場の中で、言葉づかいを振り返ろうとされている質問者様の姿勢に、敬意を感じます。

では、ここで少しだけ過去を振り返ってみましょう。「ちょっと待ってて!」「座ってて!」「ダメ!」。こんな言葉が思わず口から出てしまったことが、誰しも一度や二度はあるのではないでしょうか?

「良かれと思って」が招く影響

もちろん、こうした言葉に悪意があるわけではありません。相手を軽んじているわけでも、決してありません。むしろ「安全のために、早くしてあげたいから」という思いから、つい出てしまう言葉だと思います。でも実は、こうした言葉が利用者さんの尊厳や生きようとする意欲を、静かに傷つけていることがあります。

今回は、介護現場で気をつけたい言葉と、日々のケアで心掛けたいポイントをお伝えします。

まず知っておきたい「スピーチロック」とは

介護現場で発生する身体拘束には、「3つのロック」があると言われています。①身体を物理的に縛る「フィジカルロック」②薬で行動を制限する「ドラッグロック」、そして③言葉で行動を抑制する「スピーチロック」です。

気づきにくい言葉の拘束

先ほどの「ちょっと待ってて!」「座ってて!」は、まさにスピーチロックにあたります。スピーチロックの怖さは、目に見えないことです。そのため、無意識のうちに誰もがついやってしまう恐れがあります。フィジカルロックは、拘束具があるから見た目でわかります。

でも、スピーチロックは通常の会話の中に溶け込んでいて、本人も気づかないまま繰り返されてしまう。だからこそ、介護職がそれに気づけるかどうかが、ケアの質を大きく左右すると私は思います。

「不適切ケア」の具体的な場面を知る

スピーチロックは、広い意味での「不適切ケア」の一つです。例えば、「いいから、いいから、私がやるからやらなくていいよ」と、本人ができることを介護者がしてしまう「過介助」があります。本人ができることまで介護者がすべて行ってしまうと、結果として自立の機会を減らしてしまうことがあります。

大人としての尊厳を損なう言葉づかい

「上手、上手、よく食べましたね」「おててを拭きましょうね」といった幼児に向けたように受け取られかねない言葉づかいは、利用者さんによっては不快感につながり、敬意が伝わりにくくなることがあります。

事実よりも感情に寄り添うケアを

また、「こんなところにお母さんがいるわけがないでしょ」と、その人の感じていることを否定して、こちら側の見えている事実を伝えるのも、不適切な対応です。介護職の中には、正しいことを伝えたほうが良いと考える方もいますが、認知症があっても感情は生きています。

そのため、「怒られた理由はわからないけど怖かった」「自分の言ったことは否定される」という記憶が残ると、ケアへの拒否や不穏につながりかねません。

責める言葉は不安や萎縮を生む原因に

更に、「なんでおしっこって言えないの! また掃除しなきゃ、これで3回目」というような責めるように聞こえかねない言葉は、本人の不安や萎縮につながることがあります。認知症の方の場合、そのときの出来事は忘れても、「怖かった」「いやだった」という負の感情の記憶だけは、ずっと残ってしまうことがあります。

そして、その積み重ねが、介護への拒否や不穏につながることも少なくありません。

なぜ不適切な言葉が出てしまうのか

「忙しくて、つい強い口調になってしまう」「転んだら危ないから、動かないでと言うしかない」。私も現場にいた頃、そんな気持ちになることがありました。人手が足りないなかで、余裕がなくなっていき、いつの間にか言葉が荒くなってしまう。それは、多くの介護職が経験することだと思います。

しかし、後になって、そうなった自分を責めても何も変わりません。大切なのは、自分を責めることではなく、「なぜそう言ってしまったのか」を振り返り、代わりの言葉をチーム全体で考えていくことではないでしょうか。

それが、不適切ケアを減らしていく最初の一歩になるはずです。

心掛けたい3つのポイント

行動の背景にある理由を考える

不適切ケアを減らすために心掛けたいのは、「どうして?」を想像することです。利用者さんが立ち上がろうとするときや大きな声を出すとき、その行動には必ず理由があります。例えば、「排泄したい」「不安を感じている」「座り心地が悪い」などです。

だからこそ、前述のような行動を「問題行動」と見るのではなく、「この人はいま、何を求めているのだろう」と想像することが、適切なケアにつながるのです。

言葉の言い換えを習慣にする

また、言葉を「言い換える習慣」をつけることも重要です。
「ちょっと待って」
「〇〇分ほどで参りますので、少しだけお待ちいただけますか」


「座ってて」
「一緒に動きましょう、配膳の後に行きますね」

このように、クッション言葉を使って理由を添え、相手の意思を尊重する言い換えは、慣れれば自然とできるようになります。最初はうまくできなくても、意識するだけで十分です。

自身の状態を客観視する視点

そしてもうひとつ、自身の状態を客観的に把握することも意識してください。
介護ストレスは誰にでも生まれ得るもの。大切なのは、そのストレスを一人で抱え込まないことです。誰かに話せる環境がある、あるいはチームで話し合える環境がある。そうした環境を作ることが職員を守り、結果的に利用者さんを守ることにもつながるでしょう。

最後に

言葉は、ケアの道具です。使い方一つで、人を守ることも、傷つけることもある。それを考えれば、できるだけ適切に使いたいものです。

言葉に悩むというのは、質問者様が利用者さんのことを真剣に考えている証拠です。介護の現場は、毎日が正解のない選択の連続。それでも「もっとうまく関われたかな」と振り返れる人が一人いるだけで、チーム全体のケアは少しずつ変わっていきます。
あなたの言葉が、誰かの安心につながるように願っています。

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この記事のライター

社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士

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