・超高齢社会における医療と介護の課題が分かる
・医療と介護現場で行われている超高齢社会への対策が分かる
日本の現状を整理する
■執筆者
ささえるラボ編集部です。 医療・福祉・介護の仕事にたずさわるみなさまに役立つ情報をお届けします! 「マイナビ医療福祉キャリア」が運営しています。
「超高齢社会」とは?
日本は、超高齢社会の基準である高齢化率21%を大きく上回り、2025年時点で高齢化率が29.4%に達しました。また、65歳以上の人口は3,619万人となっており、「国民の約3人に1人が高齢者」という社会が現実になりつつあります。
イタリアやポルトガルをはじめとする欧州諸国でも高齢化は進んでいますが、日本のように急速かつ高い水準で進行している国は限られています。そのため、日本の動向には世界的に注目が集まっている状況です。
超高齢社会が進んだ背景にあるのは?
■少子化
■長寿化
2026年現在の日本社会と「2040年問題」
2025年問題とは、1947~1949年生まれの団塊世代がすべて75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護ニーズや社会保障費が急増することを指す言葉です。
後期高齢者は、医療や介護を必要とする割合が高く、医療費・介護費の増加は社会全体に大きな影響を及ぼします。実際、医療・介護現場では高齢者支援の需要が急速に高まっており、介護人材不足や現役世代の負担増も、これまで以上に大きな課題となってきました。
■「2025年問題」と「2040年問題」の違い
2040年問題とは、1971~1974年生まれの団塊ジュニア世代が高齢期を迎え、高齢者の割合がピークに達する問題です。一方で、生産年齢人口が大きく減少し、社会保障制度の持続可能性が課題として指摘されています。
2025年問題が「高齢者の増加による社会保障費の拡大」が中心であるのに対し、2040年問題は「支える側の人口減少」がいっそう進む点に特徴があります。生産年齢人口の急減は、医療・介護分野をはじめとした人材不足や社会保障費の増大、経済の縮小など、社会全体に幅広い影響を及ぼすでしょう。
超高齢社会で顕在化する医療と介護の課題とは?
■医療の課題—マルチモビディティと在宅医療への対応
高齢者、特に後期高齢者には、複数の慢性疾患を同時に抱える「多疾患併存(マルチモビディティ)」の状態が多く見られます。高血圧、糖尿病、心疾患、腎機能低下といった複数の疾患が併存すれば、診療や治療が高度化・複雑化するだけでなく、ADL(日常生活動作)の低下にもつながりかねません。薬の多剤併用(ポリファーマシー)の可能性も高まるでしょう。そのため、単一の疾患を対象とした従来型の医療では、対応が難しくなることが指摘されています。
■課題と連なるニーズ拡大
加えて、在宅医療のニーズも急速に拡大しています。通院が困難な高齢者の増加により、訪問診療や訪問看護の重要性が高まっており、医療の提供場所が「病院中心」から「地域・在宅」へとシフトしつつあります。
■介護の課題—認知症高齢者の増加と老老介護
そして、その大きな要因となっているのが、認知症高齢者の増加です。認知症は、身体的な介助だけでなく、見守りや安全確保、行動・心理症状への対応など、人的負担の大きいケアを必要とします。そのため、単純に人手を確保するだけでは対応しきれず、ケアの量と質の両立が課題となっているのです。
また、「老老介護」や「認認介護」といった状況も増加しています。高齢者が高齢者を介護するケースや、認知症の家族同士で支え合うケースは、介護負担の深刻化を招きやすく、家庭内の支援だけでは限界があることを示しています。
■医療・介護現場で深刻化する人材不足
医療職・介護職には、身体的・精神的な負担に加えて、処遇面の課題もあり、離職率が高い状態が続いています。現場の持続性を維持し、質の高いサービスを提供し続けるためには、この「人手不足→負担増→離職→更なる人手不足」という悪循環を解消する必要があるでしょう。
■地域格差の影響
医療・介護現場で進む対策と変革
ここからは、医療と介護の現場を支えるために、具体的にどのような対策が進められているのかをお伝えします。
■地域包括ケアの推進
地域包括ケアとは、高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるように、「医療・介護・予防・住まい・生活支援」のサービスを一体的に提供するしくみです。高齢者の自分らしい暮らしを地域全体で支える点に特徴があり、在宅医療と訪問介護の連携強化、地域の多職種による情報共有、ケアマネジメントの質の向上など、地域ごとにさまざまな施策が進められています。
■地域単位での支えあい
例えば、広島県の尾道市では、早くから「尾道方式」と呼ばれる地域包括ケアの取り組みが進められてきました。これは、地域包括ケアの先進事例の一つとして紹介される取り組みで、尾道市医師会を中心に、病院、診療所、介護事業者、行政などが日常的に連携し、退院後も途切れることのないサポート体制を構築しています。
医療・介護・福祉のスタッフや患者、家族が一堂に会する、ケアカンファレンスが継続的に実施されており、必要に応じた包括的なサービス提供につながっています。このような地域単位での支え合いは、高齢者の生活の質(QOL)を維持・向上させるだけでなく、医療・介護従事者の負担軽減にもつながるでしょう。
■テクノロジーの活用
■介護ロボットの活躍
例えば、東京・大田区の社会福祉法人善光会では、「ハイブリッド特別養護老人ホームプロジェクト」と題して、これまでに200種類以上の介護ロボットを導入。職員から負担軽減や作業効率化を実感する声が報告されるなど、複数の成果を挙げています。
■人材確保と定着に向けた取り組み
■介護分野での取り組み
また、過疎地域や中山間地域では、国の支援制度を活用しながら移住支援や定住促進、資格取得支援などを実施。地域の実情に応じた取り組みが進められています。
人材確保に加えて、働きやすい職場環境の整備も進められており、業務負担の分散や勤務形態の柔軟化、メンタルヘルス対策などによって離職を防ぎ、長く働き続けられる環境づくりが行われています。
■医療分野での取り組み
医師不足や勤務負担の偏りを改善するために地域医療支援体制を強化したり、勤務環境の改善や医療機関同士の連携強化を通じて、医療従事者の負担軽減と離職防止を目指したりする動きも、注目に値するでしょう。
まとめ
ささえるラボでは、今後も国の制度改革や自治体の取り組み、医療・介護分野におけるITの発展、地域包括ケアの動向などに注目していきます。あわせて、制度の変化や現場の実態、最新情報を分かりやすくお伝えしていくことで、医療・介護現場で働く人たちが安心して超高齢社会に向き合える社会づくりをサポートします。
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