本日のお悩み:感染症の時期でも面会を継続したい!
「会わせたい」と「守りたい」の間で悩む介護現場
■執筆者/専門家
社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士 介護現場の職員の後、祖父の在宅介護での後悔と、自身の介護うつ経験から、そのきっかけになった排泄の支援を追求すべくおむつメーカーへ転職。 1000人以上の方のおむつ交換に触れ、介護する側もされる側も双方が「シッカリ出して、スッキリ生きる」ことが、より良い人生に繋がる。気持ち良く「出す」ことをサポートすることで良い循環が生まれることを実感する。
私自身、介護現場に関わる中で、「面会を制限すると利用者の元気がなくなる」「ご家族の思いも大切にしたい」という声を数多く聞いてきました。感染対策と利用者の生活、そのどちらも守りたいという思いは、現場に立つ方に共通しているのではないでしょうか。
■安心とつながりを両立させる工夫が大切
今回は、感染症が流行する季節でも面会を継続するために、施設側ができる工夫とご家族に知っておいてほしいポイントを、現場の視点と根拠をもとにお伝えします。
介護現場だからこそできる工夫と、ご家族と一緒につくる安心
厚生労働省は「社会福祉施設等における面会等の実施にあたっての留意点について」において、対面での面会制限が利用者の気分の落ち込みや認知機能に影響する可能性を示し、感染対策を講じたうえで可能な限り対面面会を継続することを推奨しています。
※参照:厚生労働省 社会福祉施設等における面会等の実施にあたっての留意点について
■感染対策は積み重ねが大切
施設側でできる具体的な感染対策
■1.スタンダード・プリコーション(標準予防策)の徹底
厚生労働省の「介護現場における感染対策の手引き(第3版)」※では、次のような項目が示されています。
※参照:厚生労働省 介護現場における感染対策の手引き(第3版)
・マスクの着用による飛沫感染対策
・ドアノブや机など、接触頻度の高い場所の消毒
・職員自身の体調管理
■2.面会前の事前チェックと調整
現場では、チェックリスト形式で次のような点を確認すると、対応がスムーズになるでしょう。
※参照:厚生労働省 社会福祉施設等における面会等の実施にあたっての留意点について
・のどの痛み、せき、倦怠感などの症状がないこと
・濃厚接触者でないこと
・同居家族に体調不良者がいないこと
・過去2週間以内に感染者との接触がないこと
■3.面会場所・環境の工夫
※参照:厚生労働省 高齢者施設における面会の実施に関する取組について
・できるだけ少人数で
・大声での会話や飲食は控える
・距離を保てる配置
■4.予約制・短時間面会の活用
■5.職員研修とマニュアルの整備
感染の三原則から考える、面会時の感染対策
感染症は、1.感染源、2.感染経路、3.感受性のある人の3つがそろったときに感染します。つまり、このどれか1つでも断ち切れれば、感染リスクは大きく下げられるということです。
■面会時に当てはめる「感染の三原則」
2.マスクの着用や換気を徹底する → 感染経路を断つ
3.利用者の体調変化をいち早く察知する → 重症化や拡大を防ぐ
感染経路別に考える、面会時の予防策
■1.飛沫感染への対策
・1~2メートル程度の距離を保つ
・大声での会話を控える
・十分な換気を行う
■2.接触感染への対策
・ドアノブ、机、椅子などの環境消毒
・「顔を触らない」という意識を持つ(無意識に顔を触る人が多いため)
また、排泄ケアの汚染物の処理方法なども、この機会にきちんと確認してください。
ご家族に知っておいてほしいこと
■1.面会は利用者のQOLに直結する
利用者にとっての面会は、単なる「訪問」ではなく、「自分は大切にされていると感じられる時間」でもあるのです。
■2.ご家族の協力が、施設全体を守る
最後に:「難しい対策」より、「続けられる対策」を
原因がすべてわからなくても、できる予防を積み重ねることが大事です。それは、ジョン・スノウが示した「原因が完全に特定できなくても、予防行動は取れる」という疫学の考え方にもつながります。介護現場だからこそ、この視点を大切にしながら、面会という大切な時間を守っていくことが求められるのです。
■感染対策は「つながり」を守るためのもの
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社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士