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退職代行を使われたときの正しい対応!法人・施設が絶対に知っておくべきポイントを紹介します

退職代行を使われたときの正しい対応!法人・施設が絶対に知っておくべきポイントを紹介します

退職代行サービスから連絡が来たとき、法人や施設はどう対応すべき?法的リスクを回避し、トラブルを未然に防ぐための正しい手順と注意点を徹底解説します。いざというときに備えて確認しておきましょう。【執筆者/専門家:伊達 伸一】


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執筆者/専門家(弁護士)

伊達 伸一

https://mynavi-iryofukushi.jp/media/users/10

伊達総合法律事務所 代表弁護士 弁護士業務開始当初から現在に至るまで多数の交渉・訴訟案件など紛争案件処理に従事。介護会社の個別の紛争案件のみならず、虐待事案の第三者委員会や調査案件を手がける。 多数の介護案件に従事した経験から、初動対応の重要性に着目し、介護事業者・介護職員を守るために、介護に特化した月額基本料2,000円の顧問弁護士サービス「介護のまもりびと」を立ち上げ運営している。

退職代行の広まりと現状

退職代行という言葉が社会で認識され始めてからそれなりの時間が経ち、退職代行を利用して退職した人がいた企業の割合も増加傾向にあります。

介護業界でも同様であり、いつ法人や施設に退職代行から連絡があってもおかしくありません。
※出典:マイナビキャリアリサーチLab退職代行サービスに関する調査レポート(2024年)

退職代行とは?企業型と弁護士型の違い

退職代行サービスの定義

まず、退職代行とはなにかですが、従業員本人に代わって、退職の意思を勤務先に伝えることを指します。このうち、企業が行う退職代行サービスを「退職代行サービス」と一般的に言います。

弁護士による退職代行との違い

これに対して、弁護士が、従業員本人に代わって勤務先と退職の交渉を行う場合は一般的に「退職代行」という言葉は使いません。自分で退職や未払残業などについて争いになっている、または、争いになりそうな場合に弁護士のところに相談に来られ、受任する場合が通常です。

弁護士で「退職代行」という名称でサービスを提供している弁護士もいるようですが、争いになってもそのまま弁護士が引き続き担当できることがメリットとされているかと思います。

企業型退職代行ができることとできないこと

次に、企業が行う「退職代行」サービスですが、できるのは、あくまでも、従業員本人に代わって、退職の意思を勤務先に伝えることだけで、勤務先と交渉をしたり争いになったことについてやりとりをしたりすることはできません。

紛争・交渉は弁護士のみが対応可能

弁護士法72条で、「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件…その他一般の法律事件に関して…法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。」と定められています。

平たく言うと、紛争になっていたり、交渉したりする場合は、弁護士しか対応ができず、企業が行う「退職代行」サービスでは、勤務先と交渉をしたり、争いになったことについてやりとりをしたりすることはできないということです。ここが大きな違いになります。

もし、退職代行業者と交渉になりそうになったり争いが生じたりしたときには、交渉・やりとりできない旨を伝えて、当該従業員本人とやりとりをするようにして、退職代行業者と交渉をしないようにしてください。

弁護士対応が必要なケース

また、「退職代行」が弁護士によるものであれば、基本的に法的な紛争が含まれていますので、その時点で、顧問弁護士等専門家に相談すべきです。このような状況に備えて法人は顧問弁護士を置いておくことをおすすめします。

以下、企業が行う「退職代行」サービスという前提で注意点を指摘します。

本人の意思確認が最重要!委任状・印鑑登録証明書の取得方法

本人意思の確認手順

退職代行業者から連絡があったとき、最初に確認すべきことは、本人の意思による退職の意思表示なのかどうかです。

退職は、従業員の身分・地位を失わせる法律行為であり、非常に重要な行為です。口頭だと言った言っていないの争いになりますし、本当にやめるまでのつもりはなかった等真意が問題にもなります。そこで、就業規則で、口頭ではなく、会社の書式による退職届の提出を定めているのが一般です。

そして、退職代行を名乗る業者から連絡があっても、それが本当に従業員本人の代理によるものなのかは、電話や書面だけでは確認が取れません。

委任状・印鑑登録証明書の取得と証拠化

そこで、原則として、従業員本人の委任状及び印鑑登録証明書(原本)の提出を求めてください。 なお、やりとりはしっかりと証拠化しておくように気を付けてください。

特に、こちらが退職代行業者に対して伝えた事項については必須となります。電話が録音できれば録音していただき、やり取りは基本的にFAX・郵送等で書面で行うようにしましょう。そして、それらはPDFで問題ないので必ず保存をしておいてください。後日争いになったときに、こちらで立証できないと不利になってしまいます。

退職届の取り付けと有期雇用契約の注意点

退職届の提出依頼と書式の扱い

通常、退職する際は、会社所定の退職届を勤務先に提出するかと思います。しかし、退職代行業者を利用された場合、書面での連絡ではなく、ただ電話だけで退職の連絡をしてくる場合も存在するかもしれません。

この場合、退職代行業者に退職届の提出を求めてください。(上記の委任状及び印鑑登録証明書に合わせて)退職届は、会社所定の書式が良いですが、所定の書式が使われなくても構わず、明確に退職する内容及び退職日が明記されていれば退職代行業者からの連絡書面でも構いません。(上記の委任状及び印鑑登録証明書は必須です。)

有期雇用契約の場合の対応

なお、念のため、当該従業員の雇用契約が有期雇用契約かどうかを確認してください。もし、有期雇用契約の場合は、雇用期間内は原則として雇用契約の解除はできないですが、やむを得ない事由があるときは雇用契約を解除できるとされており(民法628条)、この見極めが必要です。

有期雇用の場合は、退職代行業者に有期雇用契約であり期間内は原則として雇用契約を解除できない旨を伝え、それでも退職したい場合は、その理由を確認してください。前述のとおり退職代行業者とは交渉等はできませんので、それ以降は退職代行業者とやりとりしないようにして、弁護士に相談したうえで対応を決める必要があります。

通常の退職手続きとSNS炎上リスクの回避法

必要書類の案内と通常手続き

退職届・委任状・印鑑登録証明書が提出された場合は、通常の退職手続を進めることになります。退職手続の際に通常従業員から取り付けている必要書類の提出や、貸与品の返還を退職代行業者に伝えてください。

また、有給休暇の残り日数を確認して退職日までに消化処理をし、社会保険・雇用保険の喪失手続や離職票の発行など、退職手続を進めてください。

引き留め・拒否によるリスクとSNS対策

退職代行を使ってくるということは、当該従業員は会社に対して直接やりとりもしたくない、できない、ということであり、退職を引き留めることは双方にとってメリットがあることではないかと思います。

無理に引き留めようとしたり、退職を拒んだりしようとすると、かえって当該従業員を感情的にさせ、SNS等への書き込み等レピュテーションリスクにつながることもあります。そのため、退職代行を利用した退職希望があった場合は、穏便に淡々と手続きを進めるのがよいということになります。

最後に:退職代行対応は冷静さと法令遵守がカギ

退職代行サービスへの対応は、慌てず冷静に、そして法令遵守を徹底することが重要です。

本記事で紹介したポイントを押さえておけば、トラブルやリスクを最小限に抑えることができます。 日頃から正しい知識と手順を確認し、万が一に備えておきましょう。

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この記事のライター

伊達総合法律事務所 代表弁護士

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