マイナビ医療福祉キャリア
「職員の異動や卒業を、利用者さんに伝えない」という施設の方針に納得できません

「職員の異動や卒業を、利用者さんに伝えない」という施設の方針に納得できません

【回答者:大庭 欣二】3つの視点から考えてみて、職場内で対話をしてはいかがでしょうか。


本日のお悩み

職員の卒業や異動のときの、お客様への伝え方について質問です。
私のところでは、「お客様が動揺するから、辞めることは黙っておくように!」というルールがあります。

私は、「アフターケアがめんどくさい」という、職員のわがままなのではないかと思います。
確かに、動揺して泣くお客様はいます。でも、それは素晴らしいことであって、残った職員がアフターケアをすれば良いことであると思うのです。
人間には「喜怒哀楽」という素晴らしい感情があります。
お客様に笑っていただくことはもちろん、泣いたり怒ったりしていただくことも大事な尊厳だと思います。
そうすることで「哀」の感情が減っていくのだと。

嘘をついて、ある日突然「それまでの時間を共有した家族」が消えてしまうことって、ひどくないでしょうか?
私は、それこそが尊厳を無視した虐待であると思っています。
これについて、どう思いますか?

相談者:マロン さん

3つの視点から考えてみて、職場内で対話をしてはいかがでしょうか。

利用者さんとのお別れに際しての伝え方のご相談ですね。
私もいろんな福祉の職場と関わってまいりましたが、対応は施設ごとで異なっています。
それは「これが正解!」というものがなく、法人や組織の考え方に依るところが大きいと言えます。

3つの視点から今回の相談を考えてみましょう。

利用者さんの視点

まず、利用者さんの視点から。
高齢者であれ、障がい者であれ、人との関わりや繋がりは生活の一部であり、大切なものですね。

ある日突然、信頼関係を築き上げていた職員さんが来なくなり、「Aさんは先月で退職されたのですよ。」なんて後から聞かされると
「なんで事前に伝えてくれなかったの?」「ちゃんとお別れの挨拶やお礼を伝えたかった」などと、「怒」や「哀」の感情は湧いてきて当然だと思います。

「利用者視点」から捉えると、伝えてほしいというのが多くのご意見だと思います。

経営者・管理者の視点

では、経営者や管理者の視点ではどうでしょう。
現在の労務管理は大変困難で、職員さんも様々な形で退職されていきます。
不義理をされる職員さんもいれば、心身の不調により休職から退職になる方もいます。
そのような状況下で、全退職者を同じような形で利用者さんに伝えるのは難しいのが現状です。

また、利用者さんとの極めて良好な信頼度の高い職員さんの退職は、ご質問のような「ご利用者の動揺」を心配する管理者の気持ちも分かります。
ただし、これは聞くのが退職前でも後でも、動揺はするわけで、理由として相応しくないですね。
このような辞め方の場合、利用者さんが様々な憶測をする恐れもありますよね。

私は、管理者さんが組織を作り上げていくうえで、「人の尊厳」を大切にということを考えるのであれば、組織としては「正しく伝える」というのをルールにしてほしいと思います。

職員の視点

3つ目に職員さんの視点として考えてみましょう。
前述したように、退職の事情は人により異なります。
退職の事情によっては、利用者さんにきちんと挨拶が出来る場合と出来ない場合とがある。
退職者の感情として、挨拶をしたい職員もいれば、挨拶をしたくない職員もいる。

残された職員さんにとっても、挨拶をしていってほしい退職者とそうでない退職者もいるというのが、現実の職場だと思います。
つまり職員さんの視点から見ると、状況や場面により、挨拶の是非は異なると思います。

「退職金あり」の求人はこちら

対話の上、ルールをつくる

では、どうあるべきなのか。
最初に書いたように正解はないですが、利用者さんを大切に思う組織であれば、基本的にはしっかりと伝えるべきだと思います。
ご本人が伝えることを軸とし、それが出来ない場合は役職者の方が丁寧に説明をすることが、「尊厳」を大切にする職場である気がいたします。

最後になりますが、このようなことを様々な視点があるということを踏まえながら、職場の皆さんと一緒に考え、ルールを創り上げていくということが大切であると思います。
ぜひとも、皆さんと対話されて、ご自身のお考えを伝えられてはいかがでしょうか。
その過程がとても大切な気がします。

介護の求人を探す

この記事のライター

福岡福祉向上委員会 代表

関連する投稿


第186話 「お花見弁当」/ほっこり介護マンガ

第186話 「お花見弁当」/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


退職者へのメッセージ文例集|関係性・退職理由に応じた言葉選びと注意点

退職者へのメッセージ文例集|関係性・退職理由に応じた言葉選びと注意点

退職者へのメッセージは、言葉選びひとつで、相手の心に残る印象が大きく変わります。本記事では、ねぎらいと感謝を軸に、状況別の文例や避けたい表現、忌み言葉まで、福祉・看護の現場に配慮した伝え方を丁寧に解説します。【執筆者:ささえるラボ編集部】


第185話 「新しい仲間」/ほっこり介護マンガ

第185話 「新しい仲間」/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


介護福祉のアウトリーチ徹底解説|必要性・メリット・具体例・注意点まで網羅

介護福祉のアウトリーチ徹底解説|必要性・メリット・具体例・注意点まで網羅

介護福祉におけるアウトリーチとは何かを完全解説。厚労省資料を基にメリット・施策事例・注意点を分かりやすく紹介。知らないと損する制度理解に役立つ内容です。【執筆者/専門家:脇 健仁】


Z世代にこそ介護業界を──価値観が変わる時代の働き方と育成のヒント

Z世代にこそ介護業界を──価値観が変わる時代の働き方と育成のヒント

Z世代が介護の仕事で力を発揮できる理由と、安心して働ける環境づくりのポイントを解説します。世代の特性を理解し、互いに成長できる職場づくりのヒントをお伝えします。【執筆者/専門家:後藤 晴紀】


マイナビ医療福祉キャリア 閲覧ランキング
【北海道・東北】
【関東・甲信越】
【北陸・東海】
【関西・中四国】
【九州・沖縄】

最新の投稿


第186話 「お花見弁当」/ほっこり介護マンガ

第186話 「お花見弁当」/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


退職者へのメッセージ文例集|関係性・退職理由に応じた言葉選びと注意点

退職者へのメッセージ文例集|関係性・退職理由に応じた言葉選びと注意点

退職者へのメッセージは、言葉選びひとつで、相手の心に残る印象が大きく変わります。本記事では、ねぎらいと感謝を軸に、状況別の文例や避けたい表現、忌み言葉まで、福祉・看護の現場に配慮した伝え方を丁寧に解説します。【執筆者:ささえるラボ編集部】


第185話 「新しい仲間」/ほっこり介護マンガ

第185話 「新しい仲間」/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


介護福祉のアウトリーチ徹底解説|必要性・メリット・具体例・注意点まで網羅

介護福祉のアウトリーチ徹底解説|必要性・メリット・具体例・注意点まで網羅

介護福祉におけるアウトリーチとは何かを完全解説。厚労省資料を基にメリット・施策事例・注意点を分かりやすく紹介。知らないと損する制度理解に役立つ内容です。【執筆者/専門家:脇 健仁】


Z世代にこそ介護業界を──価値観が変わる時代の働き方と育成のヒント

Z世代にこそ介護業界を──価値観が変わる時代の働き方と育成のヒント

Z世代が介護の仕事で力を発揮できる理由と、安心して働ける環境づくりのポイントを解説します。世代の特性を理解し、互いに成長できる職場づくりのヒントをお伝えします。【執筆者/専門家:後藤 晴紀】


マイナビ医療福祉キャリア
「マイナビ医療福祉キャリア」は、医療・福祉・介護職に特化した中途、パート向け求人サイトです。
医師、看護師、薬剤師、歯科医師、介護職・ヘルパー、保育士、リハビリ職、技術職、事務職など、専門性の高い職種に特化した求人情報を多数掲載しています。
雇用形態や詳細条件での求人検索もできるのであなたにぴったりな職場が見つかります!
【職種から求人・転職情報を探す】