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【2025年最新】介護職1人あたり最大1.9万円の賃上げ?令和7年度補正予算について解説!

【2025年最新】介護職1人あたり最大1.9万円の賃上げ?令和7年度補正予算について解説!

令和7年度の補正予算が確定しました。介護業界には計2,721億円が計上され、介護職1人あたり最大1.9万円の賃上げというワードもちらほら。実際の内訳や条件について施策ごとに専門家が解説します。【執筆者/専門家:山本武尊】


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そもそも補正予算とは?

補正予算とは

補正予算とは、年度当初に決定した本予算(当初予算)だけでは対応できない新たな財政需要や、経済状況の変化、災害などの緊急事態に対応するため、追加で編成される予算のことです。

国や自治体が社会の変化や予想外の事態に柔軟に対応するための仕組みであり、介護分野でも人材不足や物価高騰など、現場の課題に迅速に資金を投入する役割を担っています。2025年の介護業界においても、補正予算は現場の課題解決と未来への投資の両面で重要な意味を持っています。

令和7年度補正予算案「介護分野への緊急支援パッケージ」とは?

執筆者/専門家

山本 武尊

https://mynavi-iryofukushi.jp/media/users/23

おかげさま社労士事務所 代表 元地域包括支援センター センター長 社会保険労務士、社会福祉士・主任介護支援専門員・介護福祉経営士1級・ ファイナンシャルプランナー2級(AFP)・簿記3級

令和7年度補正予算案では、介護分野に総額2,721億円という大規模な緊急支援パッケージが計上されました。介護職員の賃上げ、人材不足が深刻な訪問介護のテコ入れ、物価高騰下の施設経営の下支え、そしてDX・協働化の促進まで、多岐にわたる現場課題に同時にアプローチする内容です。

これは単なる一時的な財政出動ではなく、「令和8年度介護報酬改定への橋渡し」として介護業界の構造改革を視野に入れた政策パッケージと位置づけられます。ここから詳細を見ていきましょう。
※参照:厚生労働省 補正予算案の主要施策集
※参照:厚生労働省令和7年度厚生労働省補正予算案のポイント

1.介護職員の賃上げと職場環境改善(1,920億円)

補正予算による「緊急賃上げ」の具体策

介護職の処遇改善は長年の課題であり、他産業との賃金差は依然として縮まりません。補正予算では、報酬改定を待たずに「緊急の賃上げ」を実施します。

厚労省発表の資料によると、賃上げ支援は三階建て構造で設計されており、介護職員は最大月額1万9千円、ケアマネジャー等は月額1万円が目安となります。(令和7年12月〜令和8年5月の半年間)

・1階部分は「全介護従事者への月1万円」
・2階部分は「生産性向上・協働化へのインセンティブの5千円」
・3階部分は「補助金の使途は事業者の裁量に委ねられる4千円」

生産性向上・協働化へのインセンティブ

介護職員1人あたりに1万円の支給が基本ですが、生産性向上や協働化に取り組む事業者には+5千円の上乗せも可能です。(2階部分)

これは単なる賃金引き上げだけでなく、ICT導入や協働化へのインセンティブを持たせた設計である点が特徴的です。

職場環境改善などへの追加支援

さらに、使途が事業者の裁量に委ねられているのが3階部分の+4千円です。
職員の賃金アップに使うこともできれば、職場環境改善の経費にも使用が可能です。

2.介護事業所のサービス継続支援(510億円)

物価高騰下での経営安定化策

物価高騰下で苦しむ事業者に対しては、経営の安定化に直結する支援が用意されています。

具体的には、移動・光熱費の補助、食材料費の高騰分への補助、災害時の備品購入(発電機・備蓄物資等)への補助といった実務的で効果のある「直接補助」が盛り込まれています。

具体的には、訪問系サービスで最大50万円、通所系サービスでは最大40万円の補助が行われます。特に補助内容として、地方・中山間地域で影響が大きい移動コストを重視した設計が特徴です。

施設系サービスも事業を止めないことが軸

また、施設系では食材料費や夏季の熱中症対策など、日々の運営コストの上昇が補填される内容で、「事業を止めない」ための直接支援という意味合いが強い施策となっています。

3.テクノロジー導入・協働化・経営改善支援(220億円)

ICT機器導入の高率補助

介護現場の人材不足が慢性化する中、単純に人を増やすのではなく、「少人数でも質の高いケアを提供できる体制への転換」を促す投資がこの柱です。

対象となるICT機器は、介護記録ソフト、見守り機器、インカム、共有端末など幅広く、国・県の補助は4/5と非常に高率です。

経営基盤強化と協働化支援

また、経営改善や協働化支援も盛り込まれ、複数事業者の共同購入・共同運営、バックオフィス統合など、中小事業者の経営基盤強化が狙われています。

「申請の壁」という課題

一方で、厚生労働省の資料には「申請の壁」という課題も言及されており、支援の利用率向上に向けて相談窓口の強化も進めていく必要があります。

4.訪問介護・ケアマネジメントの提供体制確保(71億円)

人材不足分野への集中支援

さらに、特に人材不足が顕著な訪問介護とケアマネジメントに対して、ターゲットを絞った集中支援が行われます。

支援内容は、中山間地域でのサテライト拠点設置、事業所の多機能化(通所+訪問など)、業務負担軽減(シャドウワーク支援等)、潜在ケアマネの発掘・採用支援など、地域包括ケアの根幹を支える機能にフォーカスした内容です。

特にケアマネに関しては、オンライン研修や教材作成の支援もあり、質の向上と魅力発信にも力を入れている点が注目されます。

補正予算は「未来への投資」

補正予算は「未来への投資」。報酬改定を見据えた経営戦略が鍵です。今回のパッケージは、単なる補填ではなく、資料にもあるように「未来へ向けた経営投資のブループリント」と定義されています。

特に、人材定着(賃上げ)、物価高騰対応(サービス維持)、生産性向上(ICT・協働化)体制の脆弱な領域への集中支援(訪問介護・ケアマネ)を同時に進めるパッケージであり、これらをどう自社の経営改善につなげるかが事業者の大きなテーマになります。

令和8年度の介護報酬改定では、今回の補正予算の取り組み状況が反映される可能性が高く、「今、どれだけ制度を活用できるか」が中期的な事業運営に大きく影響することは間違いありません。

最後に:機動的かつ手厚く対応した令和7年度補正予算

今回の補正予算案は、介護業界が直面する緊急性・不可避性の高いコスト増に対し、非常に機動的かつ手厚く対応したものです。特に賃上げ支援を半年間限定で行うことで、来年度の介護報酬改定(本予算)への橋渡しとしての役割を担っていると評価できます。

しかし、最も重要な課題は、この緊急措置の「持続性」です。支援が終了した後の賃金水準を維持・向上させるためには、介護報酬全体での構造的な見直し、そして何よりもテクノロジー導入や多職種連携を通じた「生産性の抜本的な向上」が不可欠となります。本予算での支援が、単なる「一時的な救済」で終わらず、「構造改革のスタート」となるよう、事業所は支援金を活用した経営改善戦略を明確に打ち出す必要があります。

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この記事のライター

おかげさま社労士事務所 代表
元地域包括支援センター センター長

社会保険労務士、社会福祉士・主任介護支援専門員・介護福祉経営士1級・
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