本日のお悩み:お正月にできるレクリエーションが知りたい!
お正月レクリエーションの意義とねらい
■執筆者/専門家
『介護福祉は究極のサービス業』 私たちは、障がいや疾患を持ちながらも、その身を委ねてくださっているご利用者やご家族の想いに対し、人生の総仕上げの瞬間に介入するという、責任と覚悟をもって向き合うことが必要だと感じています。 目の前のご利用者に『生ききって』頂く。 『介護福祉は究極のサービス業』 私たちは、障がいや疾患を持ちながらも、その身を委ねてくださっているご利用者やご家族の想いに対し、人生の総仕上げの瞬間に介入するという、責任と覚悟をもって向き合うことが必要だと感じています。 目の前のご利用者に『生ききって』頂く。 私たち介護職と出会ったことで、より良き人生の総仕上げを迎えて頂ける為のサポートをさせていただく事が、私たちに課せられた使命だと思っています。
1年のはじまりである「お正月」は、多くの日本人にとって特別なものとなっています。施設で過ごされる利用者の方々に、「新しい年を迎える」という実感を持っていただくことは、生活の質(QOL)の向上につながるでしょう。そういった意味で、お正月のレクは1年のスタートを明るく彩る、大切なケアのひとつだと言えます。
しかし、実際には「年末年始は職員の人数が限られる」「入浴の業務もあってイベントを行う余裕がない」などの事情から、盛大な行事を企画するのが難しい場合がありますよね。私の施設でも、年末年始はお休みを取る職員が多くなります。
そこで今回は、職員の負担を極力抑えつつ、利用者さんの五感と心を動かすお正月レクのアイデアをご紹介します。
■お正月レクのねらい
例えば、お正月をテーマにした行事やレクを開催する際には、次のような意義や効果を意識し、それにあったコンセプトを見つけていきます。
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・季節感の共有
1年の節目を感じてもらうことで、生活にリズムと彩りを加える
・社会的交流の促進
職員と利用者さん、利用者さん同士の自然な会話を生み出す
・回想法的効果
昔のお正月を思い出し、記憶をたどることで認知機能を刺激する
・身体機能の維持
軽い動作や手作業を通じて、手指や上肢を動かす訓練につなげる
・笑顔と安心感
季節の行事があることで、「ここでもちゃんとお正月を祝える」という安心を感じていただく
・施設活動の共有
外部やご家族にイベントの告知・実施報告を行うことで、施設運営への理解を深めていただき、安心感につなげる
おすすめのお正月レクリエーション実例
レクを考える際は、「お正月と言えば?」というイメージを発想の起点にすると、より多くのアイデアが生まれます。ここからは一般的なお正月のイメージに当てはまる項目を取り上げ、それぞれに合ったレクを考えていきましょう!
みなさんが持つお正月のイメージと言えば、書き初め、福笑い、羽根つき、けん玉、おみくじ、甘酒、おせち、初詣、年賀状などでしょうか。では、1つずつ解説していきますね。
■1.書き初め
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●ねらい
一年の抱負、目標を宣言していただき、利用者さんの想いをくみ取る
●工夫ポイント
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・筆を使うのが難しい方は、太めのサインペンでもOK。
・完成した作品を廊下や食堂に展示すると、みなさんの想いを集めたギャラリーとなり、会話のきっかけにもなります。
・読めない文字でも、「これはどんなお気持ちで書いたのですか?」と尋ねると、ご本人の気持ちを教えていただけると思います。
■2.福笑い
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●ねらい
大笑いすること、手指の運動、他者との交流
●工夫ポイント
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・紙で大きめの顔パーツを作り、マグネットシートを貼って、ホワイトボード上で行うのがおすすめです。衛生的で繰り返し使えますよ。どのような絵柄にするか悩む場合は、ネットで作品例を検索してみましょう。
・チーム対抗にして、完成した顔をみんなで採点するのも楽しい演出です。福笑いを2つ準備して、並べて実施するとより盛り上がると思います。
・職員がお手本として挑戦してみるのも盛り上がります。
■3.羽根つき・けん玉大会
大切なのは伝統に従うこと。利用者さんが羽根を落とした場合は、職員の顔に墨を塗りましょう。◯でも×でも何でもよしです。墨を顔に塗る行為は、厄除けの意味があったりするのですが、この場合は、非日常的な行為で笑いを引き出すのがねらいです。
一方のけん玉も、本物を使うのが難しい場合は、新聞紙ボールと紙コップを使った「安全けん玉」を手作りしましょう。こちらも、失敗したら職員の顔に墨を塗るルールにすると盛り上がります。
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●ねらい
大笑いすること、上肢運動、他者との交流
●工夫ポイント
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・安全性に配慮して、羽根つき・けん玉ともに簡易的なものや手作りのものを使用する。
・「3回続けられたら成功」など、達成感を味わえるルールを設けましょう。
・続けられなかったら、スタッフの顔に墨を! 非日常が利用者さんを笑顔にしてくれると思います。
・利用者さんの笑顔や、スタッフが墨を塗られた顔の写真撮影もお忘れなく。
■4.おみくじ大会
おみくじの内容は、「末吉:月末に願いが1つ叶う」「吉:思いがけない瞬間に願いが叶う」など、前向きなメッセージを中心にしてください。
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●ねらい
会話促進・心理面の活性化・思い出の回想
●工夫ポイント
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くじの裏に「顔写真の撮影券」や「コーヒータイム招待券」などを入れると、さらに会話が広がります。
■5.お正月フォトブース&年賀状づくり
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●ねらい
自己表現、社会的つながり、思い出の回想
●工夫ポイント
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・職員手作りの背景や顔はめパネル、袴・羽織風の布などを準備する
・撮影後にその写真を使って年賀状を作成し、ご家族に送付するのも喜ばれます。
■6.甘酒&お汁粉タイム(味覚レク)
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●ねらい
食欲増進、会話の促進、思い出の回想
●工夫ポイント
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・飲み込みに注意が必要な方には、とろみ調整をした「とろみ甘酒」を提供しましょう。
・器を朱色や金色の紙コップにすると、お正月の雰囲気が高まります。
■7.初詣
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●ねらい
社会的つながり、思い出の回想、食欲増進、会話の促進
●工夫ポイント
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・余裕を持った準備期間を設け、可能な限りリアルに作成する。
・当日は、ご家族と一緒に記念撮影も実施する。
・スタッフが神主に扮して、お屠蘇風の飲み物を配りながら練り歩くのも良いですね。
注意点と安全への配慮
とはいえ、新年の迎え方は人それぞれです。利用者さんの意思を尊重し、こちらの考えを押し付けないように注意してください。利用者さんの生活背景を知っているスタッフであれば、それぞれに合わせたお正月の迎え方、楽しみ方を提供できると思います。
お正月レクを実施する際は、次の点にも配慮しましょう。
■1.身体機能に合わせた工夫
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・手指が動かしにくい方には、パーツを大きくして操作しやすくする。
・車椅子の方も参加できるように、テーブルの高さや動線にも気を配る。
■2.無理のない時間配分
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・時間は1回20〜30分程度にし、集中力が切れないようにする。
・疲労が見られたら、すぐに中断・休憩する。
■3.感染症対策
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・共同で使う道具(筆、パーツ、サインペンなど)は、事前・事後に消毒する。
・福笑いやおみくじなどは、個別セットにして渡すとより安心。
■4.心理的なケア
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・「家族との時間」を思い出して寂しさを感じる方もいるため、「ご家族と過ごすのもいいけれど、ここでも温かいお正月を迎えましょうね」といった声かけで、心のつながりを感じてもらう。
「行事」を「ケア」に変える職員の関わり方
また、ご利用者さんの表情をよく観察し、「どんな瞬間に笑ったか」「誰と話していたか」を理解すれば、毎日のケアに生かせます。レク後に「今年はどんな年にしたいですか?」と声をかけてみると、利用者さんの希望や目標も見えてくるでしょう。
レクを通じて利用者さんへの理解を深め、それを個別ケアや目標設定に反映することで、より良い関係づくりにつなげていけるので、ぜひ実践してみてください。
まとめ:レクを通じて、心を満たすお正月を
質問者さんも読者のみなさんも、温かなまなざしと少しの工夫で、笑顔あふれるお正月をお迎えくださいね。ご質問ありがとうございました。
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・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士