本日のお悩み:介護施設で年末の大掃除を、利用者さんと行う際のポイントを教えてください
介護施設での大掃除のポイントや、利用者さんと一緒にできそうな掃除があれば教えてください。
安全面に配慮しながら大掃除を行うポイントを紹介します!
■執筆者/専門家
社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士 介護現場の職員の後、祖父の在宅介護での後悔と、自身の介護うつ経験から、そのきっかけになった排泄の支援を追求すべくおむつメーカーへ転職。 1000人以上の方のおむつ交換に触れ、介護する側もされる側も双方が「シッカリ出して、スッキリ生きる」ことが、より良い人生に繋がる。気持ち良く「出す」ことをサポートすることで良い循環が生まれることを実感する。
職員側にとって、普段のケアとは違う角度から利用者さんの動作・判断力・会話力を観察でき、リハビリ的な気づきを得る良い機会にもなりますし、利用者さんにとっても、できることに参加していただくことは、役割を持つ喜びや達成感につながります。
単なる環境整備としてだけでなく、「季節の行事」や「生活リハビリ」の一環として捉えると、より意義のある時間になります。 安全面に配慮しながら、無理なく楽しく取り組めるよう、ポイントをご紹介します。
大掃除の基本的な考え方と安全管理
また、掃除を「労働」というイメージではなく「行事」として位置づけることが大切です。利用者さんにとっても「暮らしの一部を自分で整える」という体験は、生活の主体性を取り戻すきっかけになります。
■介護現場での思い出と大掃除の意義
その経験からも、大掃除は「きれいにする」以上に、「心を整える場」だと感じます。
利用者さんと一緒にできる掃除内容
■職員のみで対応すべき掃除
・重い物の移動やモップ掛けなど、足元が滑りやすい作業
・洗剤や消毒剤を多く使う浴室、トイレ、台所の掃除
・エアコンなどの電気製品の分解や、コードのある製品の清掃
■利用者さんと一緒にできる掃除
2. 立ってできる軽作業(職員の見守り付き)
3.認知症の方でも取り組みやすい掃除
■1.座ってできる掃除
●小物整理(新聞・雑誌の片付け)
●窓の桟やサッシ部分の拭き掃除(椅子に座ったまま届く範囲で)
→ アルコールタオルや濡れタオルを配り、音楽を流しながら拭くと楽しめます。
■2. 立ってできる軽作業(職員の見守り付き)
●廊下や共有スペースのほうき掃き(短時間で交代しながら)
●観葉植物の葉拭き、水やり
●共有スペースの飾り棚や額縁のほこり取り
■3.認知症の方でも取り組みやすい掃除
●ペアで一緒に拭く、数を数えながら片付けるなど、役割を明確に
●音楽や季節の話題を交え、「お手伝い」として誘う
利用者さんが掃除に参加するメリット
2.認知機能と感情面への刺激
3.自尊心・役割意識の再確認
4.社会的交流・心のつながり
■1.身体機能の維持・向上
目的が明確なので「体操しましょう」よりも自然に体が動く点も魅力です。
■2.認知機能と感情面への刺激
きれいになっていく過程を見て達成感を得ることが、快の感情や安心感にもつながります。
■3.自尊心・役割意識の再確認
職員が「お願いできますか」と頼むことで、「まだできる」「頼られている」という誇りが芽生える、とても良い機会です。その方の得意を活かす絶好の場面をつくれるよう、工夫されることをおすすめします。
■4.社会的交流・心のつながり
また、「一緒に頑張った」という体験は、信頼関係の再構築にも役立ちますね。
【最後に】実施の工夫とポイントまとめ
・テーマを決める
→「今年の感謝を込めて」「ピカピカ大作戦」など遊び心を添えましょう
・短時間で区切る
→15〜20分を目安に無理のない進行スケジュールを作成しましょう
・音楽を流す、会話を交える
→リズムが出て気持ちがほぐれるため取り入れるとよいでしょう
・ビフォーアフターを提示
→達成感を共有することで生きがいにも繋がります
・締めには温かいお茶時間を
→「1年お疲れ様でした」と声を掛け合いましょう
大掃除は、ただの清掃ではなく「心を整える共同作業」です。 「助ける側」と「助けられる側」を越えて、共に場を整え新しい年を迎える準備をする、その時間こそ、介護の現場が持つ温かさの原点ではないでしょうか。
年末の大掃除が、施設全体に温かい連帯感と新しい年への活力をもたらす時間となるよう願っています。
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社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士