要介護1と2の保険外しってどういうこと?
■執筆者/専門家
茨城県介護福祉士会副会長 特別養護老人ホームもくせい施設長 いばらき中央福祉専門学校学校長代行 NPO法人 ちいきの学校 理事 介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント 介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員
この記事では、そもそも保険外しとはどのようなものなのかであったり、見送りになった背景、今後の展望などについてわかりやすく解説します!
■保険外しとは「総合事業」への移管
厚生労働省は2022年12月、「総合事業への移管」方針を示しましたが、2024年度の改定では見送りとなりました。しかし、制度の持続可能性などを考慮し、2027年度に向けて再び議論が再開しています。※
※参考:厚生労働省 第125回社会保障審議会介護保険部会の資料について
なぜ要介護1と2の保険外しに関する議論が起こったのか
財務省が強く働きかけている理由は、介護給付費の急増です。
※参照:厚生労働省 費用額の状況をもとに作成
この背景には、高齢化による利用者数の増加が挙げられ、国庫金で全体の25%を負担していることから、国はこの負担を抑えたいと考えているのです。そのため、財務省は「軽度の介護は地域支援で対応すべき」と厚生労働省に働きかけ、「総合事業」への移管が提案されました。
■移管先とされる「総合事業」とは?
市町村が中心となり、地域の実情に応じて、住民やボランティアなど多様な主体が関わるサービスを提供する仕組みで、地域の支え合い体制をつくり、効率的かつ柔軟な支援を実現することを目的としています。
一方で、厚生労働省の資料によると、「介護予防・生活支援サービス事業」の従前相当サービスを実施している市町村は、訪問型で91.5%、通所型で90.9%となっており、一見すると高く感じるものの、それぞれ約10%の地域は取り組むことができていないのが現状です。※2
また、地域によって進み具合やサービスの質にも差があり、全国的な普及には課題が残っています。
※1参照:厚生労働省 総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)
※2参照:厚生労働省 介護予防・日常生活支援総合事業等(地域支援事業)の実施状況(令和5年度実施分)に関する調査結果
事業者が要介護1と2の保険外しに反対する理由
2.収益性が低い
3.制度の準備が不十分
■1.サービスの質が不安定になる
■2.収益性が低い
■3.制度の準備が不十分
今後の見通しと提案
2.行政に専門のコーディネーターを設置し、事業者との連携を強化する
3.事業者が一歩踏み出しやすい制度設計を行う
まとめ:2027年度にむけて制度を育てる期間に
「介護とは、社会と高齢者をつなぎ続ける仕事」
総合事業の理念を活かすためにも、事業者が一歩踏み出しやすい環境づくりが必要です。
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茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)