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ケアプランデータ連携システムとは?導入の流れやメリットについて解説

ケアプランデータ連携システムとは?導入の流れやメリットについて解説

ケアプランデータ連携システムの導入を検討している方からのお悩みです。介護福祉士や社会福祉士、ケアマネージャの資格を持つ専門家の後藤晴紀さんにご回答いただきました。導入の流れやメリットなどについて、詳しく解説します。【執筆者/専門家:後藤晴紀】


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本日のお悩み:ケアプランデータ連携システムについて知りたい

ケアプランデータ連携システム(ケアプー)の導入を検討しています。導入方法や具体的なメリットについて、分かりやすく教えていただきたいです。

介護DXで注目される「ケアプランデータ連携システム(ケアプー)」とは?

■執筆者/専門家

後藤 晴紀

https://mynavi-iryofukushi.jp/media/users/9

『介護福祉は究極のサービス業』 私たちは、障がいや疾患を持ちながらも、その身を委ねてくださっているご利用者やご家族の想いに対し、人生の総仕上げの瞬間に介入するという、責任と覚悟をもって向き合うことが必要だと感じています。 目の前のご利用者に『生ききって』頂く。 私たち介護職と出会ったことで、より良き人生の総仕上げを迎えて頂ける為のサポートをさせていただく事が、私たちに課せられた使命だと思っています。

こんにちは。ご質問ありがとうございます。

近年、介護現場では「介護DX」という言葉を聞く機会が増えています。それにともなって、ICT機器やタブレット端末、見守りセンサーの活用、LIFE(科学的介護情報システム)の導入など、介護分野でもデジタル化が急速に進んでいます。その中でも、特に注目されているしくみの一つが、「ケアプランデータ連携システム(以下、ケアプー)」です。

とはいえ、ケアプーの認知度・導入率はまだそれほど高くないのが実情です。そのため、以下のような疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか?

「名前は聞いたことがあるけれど、何ができるのかよく分からない」
「FAXでも困っていないのに、本当に必要なの?」
「導入すると仕事は楽になるの?」

■介護現場で感じていた業務負担

私は、これまで居宅介護支援事業所や訪問介護事業所、通所介護事業所など、多くの事業所とサービス提供票や実績報告のやりとりを行ってきました。そして、業務の中では「もっと利用者と向き合う時間を増やしたい」と思う場面も少なくありませんでした。

しかし、実際は印刷やFAX、電話確認、転記作業など、多くの事務作業に追われがちになっていたことも事実です。

■ケアプー導入が期待される理由

ケアプーは、こうした見えにくい業務負担を軽減するためのしくみであり、介護職やケアマネージャが、本来の専門性を発揮する時間を取り戻すための役割が期待されています。

今回は、制度の概要だけでなく、「なぜいま必要なのか」「現場では何が変わるのか」などの視点を交えながら、分かりやすく導入のメリットをお伝えしたいと思います。

ケアプランデータ連携システムとは?

■ケアプーの基本的な仕組み

ケアプーとは、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所との間でやりとりされる情報を、オンライン上で安全に送受信するためのしくみです。このシステムは、国民健康保険中央会(国保中央会)が運営しており、厚生労働省が介護DX推進の重要な施策の一つとして普及を進めています。

■ケアプーで実現する安全・正確な情報共有

先に私自身の事例を紹介しましたが、多くの事業所ではケアプランを印刷したり、提供表をFAXで送ったり、持参したりしながら、情報共有を行ってきました。一見すると当たり前のことですが、こうした業務の中には印刷ミスやFAXの送信漏れ、入力ミスなどを防ぐための確認作業も含まれており、多くの手間と時間が発生しています。

しかし、ケアプーを活用すれば、対応する介護ソフト同士がデータを直接送受信するため、紙を介さず、情報共有の安全性や正確性の向上が期待できます。

介護DXの必要性と目的

■介護DXが求められる背景

現在、日本では少子高齢化が進み、介護サービスを必要とする方は今後も増え続けると予測されています。一方で、生産年齢人口は減少が続いており、介護人材の確保はますます難しくなっています。

つまり、これまでと同じ仕事の進め方では現場が立ち行かなくなる可能性があるため、国は介護DXを重要な政策として位置づけているのです。

■介護DXの本来の目的とは

なお、介護DXというのは、単に紙をデータに置き換えることを指しているわけではありません。デジタル技術を活用しながら、職員の負担を軽減し、利用者さんにより質の高いケアを提供できる環境をつくること。それが介護DX本来の目的です。

ケアプランデータ連携システムの導入の流れ

導入の流れは、次のとおりです。

■ケアプランデータ連携システムの導入手順

詳細な設定手順はこちらのサイトを参考にしてください。
導入にあたっては、介護ソフトのベンダーや国民健康保険中央会が公開しているマニュアルやサポートも活用できますので、参考にすると良いでしょう。

■導入にあたって知っておきたいこと

現在、多くの都道府県では、「介護テクノロジー導入支援事業」などの補助制度を実施しており、中にはケアプーの利用開始を補助要件や優先要件としている自治体もあります。

補助制度の内容は年度や都道府県によって異なるため、導入を検討する際は、各自治体の募集要項や担当窓口を確認しておくことをおすすめします。

ケアプー導入で現場業務はどう変わる?

■導入すると現場は何が変わるのか

・サービス提供票をFAXで送る。
・送信できたか確認する。
・届かなければ電話をする。
・相手は受け取った書類を見ながら介護ソフトへ入力する。
・入力後は誤りがないか再確認する。

こうした一連の作業の一つひとつは、少しの時間で終わるかもしれません。しかし、それが毎月何十件、何百件と積み重なるため、現場では大きな業務負担となっています。更に、人が手入力を行う以上、入力ミスや転記漏れ、確認不足などのリスクもゼロにはできません。

それに対して、ケアプーを活用すれば、紙を介したやりとりや同じ情報を何度も入力する作業が減少し、情報共有のスピードと正確性が向上します。結果として、職員は利用者さんと関わる時間を増やせるでしょう。

■ケアプーがもたらす業務効率化の効果

ケアプーの導入を検討する際、多くの方がもっとも気になるのは、「実際にどれくらい業務が効率化されるのか」という点ではないでしょうか。効率化の度合いは、利用している介護ソフトや事業所の運用方法によって異なりますが、ここでは一つのモデルケースを紹介します。想定するのは、利用者さん30名を担当している事業所です。

■導入前は毎月約5時間の事務作業が発生

この事業所では、これまで一人あたりのケアプラン確認や入力、FAX確認などに約10分かかっていました。30名分では、約300分かかることになります。つまり、月末や月初には毎回約5時間をこの作業に費やしていたわけです。更に、修正や電話確認が発生すると、これ以上の時間が必要になることも珍しくありません。

■年間では36〜60時間の創出につながる可能性も

一方、ケアプーを導入した場合、職員が操作に慣れてくれば、一人あたり約2〜3分で確認が終わるケースが増えます。30名分で計算すると、約60〜90分と見込まれます。つまり、毎月3〜5時間の時間を生み出せる可能性があるわけです。

これを年間で考えると、効率化できる時間は、年間で約36〜60時間となる可能性があります。この時間を利用者さんとの会話やケアカンファレンス、多職種連携、職員教育に充てられるのは、大きな価値だと感じます。

ケアプランデータ連携システムを導入するメリット

ケアプーを導入すると、利用者、ご家族、職員にどのようなメリットがあるかについても紹介します。

■1.利用者のメリット

利用者さんにとって一番大きなメリットは、必要な情報がより正確に、より早くサービス事業所へ共有されることです。ご自身にとっては見えにくい部分かもしれませんが、「正確な情報が、必要な人のもとに確実に届く」というのは、安全で質の高い介護サービスを受けるための大切な基盤になります。

■2.ご家族のメリット

ご家族が直接システムを利用する場面はありませんが、システムを導入している事業所を利用することで、抱えている不安を解消できる可能性が高まります。

例えば、「サービス内容は正しく共有されているのだろうか?」「事業所ごとに違う対応になっていないだろうか?」などの不安は、軽減される可能性があります。ケアプーを活用すれば、多職種間での情報共有がスムーズになるため、相談や問い合わせへの対応も迅速になります。

■3.職員のメリット

現場で働く職員にとっては、やはり「事務負担が軽減される」という点がもっとも分かりやすいメリットだと思います。

日々、事務作業に追われていると、利用者さんの小さな変化に気づく余裕が失われてしまうかもしれません。けれど、介護職やケアマネージャの専門性は、ご利用者の表情の変化や歩き方の違い、体調の異変などにいちはやく気づき、対応することにあると思います。デジタル化によって生まれた時間は、そうした“人にしかできない仕事”に使ってこそ、価値があるのではないでしょうか。

ケアプランデータ連携システム導入直後の注意点

■新しいシステムには慣れるまで時間がかかる

ここで一つ、お伝えしておきたいことがあります。それは、ケアプーを導入した直後は、一時的に業務効率が下がる場合があるということです。

新しいシステムを導入すると、多くの現場では「前のほうが早かった」「操作方法が分からない」「かえって時間がかかってしまう」などの声が挙がることが少なくありません。

■習熟が進めば生産性の向上が期待できる

たしかに、そのとおりです。新しいことを始めた際、不慣れなために一時的に業務効率が下がるのは、ある意味当然のことだといえます。しかし、時間が経ち、習熟が進めば、導入前よりも生産性が大きく向上するはずです(こうした現象を「U字の法則」と呼びます)。

だからこそ、私はICT機器やDX化を進めるうえでもっとも大切なのは、「最初は時間がかかって当たり前」と理解しておくことだと思っています。「時間がかかっている」という状態は「失敗」などではなく、「成長途中」ということをぜひ覚えておいてください。

ケアプーは、これからの介護DXの第一歩

国は介護DXを更に進めるため、「介護情報基盤」の整備に注力しています。介護情報基盤とは、介護・医療・行政などが必要な情報を適切に共有し、利用者さんに切れ目のない支援を提供するための基盤です。

介護情報基盤が整備されれば、利用者さんが入院した場合に、医療機関が介護サービスの利用状況を確認しやすくなり、退院後には医療機関での治療内容を介護事業所が共有しながら支援できます。

それを踏まえるなら、ケアプーはこれからの介護DXを見据えた、具体的な第一歩といえるかもしれません。

最後に

今後、介護DXは更に進み、介護情報基盤の整備やAIの活用など、新たな取り組みも広がっていくと予想されます。そして、そうした環境では、変化のスピードに戸惑うことがあるかもしれません。しかし、DX化が進む中で大切になるのは、新しい技術を活用して、利用者さんへどのような価値を届けるのかだと思います。この視点を忘れなければ、介護DXは私たちの仕事を支える心強いパートナーになってくれるはずです。

介護福祉サービスは、その人の人生に寄り添う重要な対人サービスです。介護DXを効果的に活用し、共に新しい福祉の未来をつくっていきましょう。

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この記事のライター

・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事

介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士

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