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介護福祉士と社会福祉士の違いとは?それぞれの仕事内容や資格の取得方法、主な勤務先を解説!

介護福祉士と社会福祉士の違いとは?それぞれの仕事内容や資格の取得方法、主な勤務先を解説!

福祉・介護業界で働くなら、資格の取得を目指したいものです。福祉の仕事に役立つ資格のなかでもとくに専門性が高く、持っていると転職で有利になるのが、介護福祉士と社会福祉士です。両者の違いについて詳しく解説します。


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執筆者

ささえるラボ編集部

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介護福祉士と社会福祉士の違い

介護福祉士と社会福祉士の違い

福祉・介護業界で働くなら、スキルアップやキャリアアップのために、ぜひ資格取得を目指したいものです。福祉の仕事に役立つ資格のなかでも、特に専門性が高く、持っていると転職で有利になると言われているのが、介護福祉士と社会福祉士です。

介護福祉士と社会福祉士は、いずれも福祉・介護業界で働く専門職であり、国家資格でもあります。しかし、なかにはそれぞれの違いがよくわからない方や、どちらを目指すかで悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、この記事では2つの資格の違いについて、支援対象・仕事内容・給与・資格の取得方法・試験科目・合格率という6つの項目に分けて解説します。

1.支援対象の違い

介護福祉士の主な支援対象は、高齢者や身体障害者など、介護を必要としている人です。一方の社会福祉士は、高齢者や障害者はもちろん、子ども、生活困窮者など、福祉を必要とするすべての人を支援対象とする職種に就くことが多いです。資格として比較をすると、社会福祉士のほうが、介護福祉士より支援対象が幅広い傾向があります。

したがって、社会福祉士には、介護福祉士以上に幅広い専門知識が求められます。介護福祉士が身につける専門知識が介護に必要な知識中心であるのに対し、社会福祉士の専門知識は、医学、心理学、社会学、社会保障制度、福祉サービス、相談援助の方法など、多岐にわたります。

2.仕事内容の違い

介護福祉士は、後述するように介護関連施設で働くことが多いため、主な仕事内容としては、要介護者の身の回りのケアをすることです。具体的には、移乗介助や入浴介助、排泄介助といった身体介護と、掃除や洗濯、調理などの生活援助が中心です。さらに介護福祉士には、介護現場における管理職や、後輩を指導・育成する役割も求められます。

一方、社会福祉士の主な仕事内容は、高齢者や障害者、生活困窮者など、困りごとを抱えている人の相談に乗り、専門知識を活かして課題解決に導くことです。また、社会福祉士でも現場で直接支援を行うケースも多く、相談業務だけでなく生活支援や就労支援など幅広い業務に携わることがあります。

3.給与の違い

介護福祉士 社会福祉士 給与

参考:厚生労働省 社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の「就労状況調査」(速報版)についてをもとに作成
医療・福祉・介護の現場で働く「介護福祉士」と「社会福祉士」の年収を比較すると、介護福祉士は約292万円、社会福祉士は約403万円と、約111万円の差があります。

ただし、この年収差には雇用形態の違いも影響しています。今回の調査では、社会福祉士の回答者のほうが正規雇用の割合が高く、それが年収の差につながっている可能性があります。実際に、厚生労働省が公表している「介護施設で働く常勤職員の月給」を見ると、

介護福祉士:350,050円
社会福祉士:397,620円

と、月給ベースでは約48,000円の差です。これを年収換算すると約57万円となり、先ほどの年収差(約111万円)の半分程度にとどまります。

このことから、社会福祉士の方が平均給与は高い傾向にあるものの、勤務形態や職種によっては介護福祉士の方が高収入となるケースもあると考えられます。 転職や就職を検討する際は、資格の平均年収だけで判断するのではなく、実際の給与規定や求人票をしっかり比較・確認することが重要です。
※参照:厚生労働省 令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果P161

4.資格の取得方法の違い

介護福祉士、社会福祉士ともに、資格を取得するには国家試験に合格する必要があります。ただし、国家試験の受検資格にはそれぞれ違いがあります。

大きな違いは、介護福祉士には「実務経験3年+研修の修了」で受験資格を得られる実務経験ルートがあるのに対し、社会福祉士はどのルートでも、大学や短期大学、養成施設のいずれかを卒業することが求められる点です。以下で、詳しく解説します。

介護福祉士の受験資格

介護福祉士の国家試験を受けるには、主に以下3つのいずれかのルートで受験資格を取得する必要があります。以下3つのルート以外にEPA(経済連携協定)ルートがありますが、これはインドネシア、フィリピン、ベトナムなどとの経済連携協定(EPA)に基づき来日した外国人介護人材に対するルートです。所定の研修と実務経験を経て、介護福祉士国家試験の受験資格を得ることができます。
今回は日本人向けの資格取得ルートに関して解説をします。

1.養成施設ルート
2.実務経験ルート
3.福祉系高校ルート

介護福祉士 受験資格

■1.養成施設ルート

高等学校を卒業後、介護福祉士養成施設で2年以上学ぶか、福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設のいずれかを卒業したあと、介護福祉士養成施設で1年以上学ぶと、国家試験の受験資格を得ることができます。
ただし、令和9年度(2027年度)以降は、養成施設を卒業した場合でも国家試験の合格が必須となります(従来は一部免除あり)。

■2.実務経験ルート

介護福祉士養成施設や福祉系高校に入らずに、働きながら資格取得を目指すルートもあります。

このルートでは、介護施設などで実務経験を3年以上かつ540日以上積んだうえで、介護福祉士実務者研修または介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を受講することで、国家試験の受験資格を得ることができます。

ただし、「介護職員基礎研修」は2012年に廃止されており、現在は新規取得できません。 そのため、実務経験ルートは介護福祉士実務者研修を取得するルートが主流です。

■3.福祉系高校ルート

介護福祉士養成課程として国が定めた基準を満たしている福祉系高校で学び、必要なカリキュラムを修了して卒業すると、国家試験の受験資格を得ることができます。

ただし、特例高校で学んだ人は、卒業後に9ヶ月以上の実務を経験する必要があります。

社会福祉士の受験資格

一方の社会福祉士の場合、国家試験を受けるには、主に以下3つのいずれかのルートで受験資格を取得する必要があります。

1.福祉系大学・短大ルート
2.短期養成施設ルート
3.一般養成施設ルート

社会福祉士 受験ルート

■1.福祉系大学・短大ルート

4年制の福祉系大学で指定科目を履修して卒業すると、それだけで国家試験の受験資格を得ることができます。

2年制または3年制の福祉系短期大学でも、指定科目を履修したうえで、1~2年の相談援助実務を経験すると、受験資格を満たすことができます。

■2.短期養成施設ルート

福祉系の大学や短大で基礎科目のみを履修した人や、社会福祉主事任用資格を有する人が対象となるルートです。

4年制の福祉系大学で基礎科目のみを履修した人が受験資格を得るには、さらに短期養成施設で6ヶ月以上学ぶ必要があります。2年制または3年制の福祉系短大などで基礎科目のみを履修した場合は、その後、相談実務業務を1~2年経験したうえで、短期養成施設でも6ヶ月以上学ぶ必要があります。

また、社会福祉主事養成機関を修了したあと、相談援助実務を2年経験したうえで、短期養成施設で6ヶ月以上学ぶというルートもあります。社会福祉主事養成機関は主に民間の専門学校で、通学制だと学校によって2年制から4年制までさまざまです。通信制の場合は1年制が一般的です。

そのほか、児童福祉司、身体障害者福祉司、査察指導員、知的障害者福祉司、老人福祉指導主事を経て社会福祉士を目指すルートもあります。上記5種の専門職のうちいずれかの実務を4年以上経験したうえで、短期養成施設で6ヶ月以上学ぶと、国家試験の受験資格を得ることができます。

■3.一般養成施設ルート

福祉系以外の大学・短大を卒業した人や、高卒者などが対象となるルートです。

一般の4年制大学を卒業した人が社会福祉士を目指す場合、一般養成施設で1年以上学ぶことで、国家試験の受験資格を得ることができます。また、短期大学を卒業した人は、相談援助業務の実務を1~2年経験した後、一般養成施設で1年以上学ぶと、受験資格を得ることができます。

なお、大学や短期大学を卒業していない人が受験資格を得るには、相談援助の実務を4年経験したうえで、一般養成施設で1年以上学ぶ必要があります。

5.試験科目の違い

介護福祉士と社会福祉士では、大学や養成施設などのカリキュラム内容はもちろん、国家試験の出題内容も異なります。

ここでは、第38回(令和7年度)介護福祉士国家試験の内容をもとに、各国家試験の主な試験科目を紹介します。

介護福祉士試験の出題科目(第38回試験)

1. 人間の尊厳と自立、介護の基本
2. 人間関係とコミュニケーション
3. 社会の理解
4. こころとからだのしくみ
5. 発達と老化の理解
6. 認知症の理解
7. 障害の理解
8. 医療的ケア
9. 介護の基本
10. コミュニケーション技術
11. 生活支援技術
12. 介護過程
13. 総合問題

社会福祉士試験の出題科目(第38回試験)

1. 医学概論
2. 心理学と心理的支援
3. 社会学と社会システム
4. 社会福祉の原理と政策
5. 社会保障
6. 権利擁護を支える法制度
7. 地域福祉と包括的支援体制
8. 障害者福祉
9. 刑事司法と福祉
10. ソーシャルワークの基盤と専門職
11. ソーシャルワークの理論と方法
12. 社会福祉調査の基礎
13. 高齢者福祉
14. 児童・家庭福祉
15. 貧困に対する支援
16. 保健医療と福祉
17. ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)
18. ソーシャルワークの理論と方法(専門)
19. 福祉サービスの組織と経営

上記の科目名を見比べるだけでも、介護福祉士試験よりも社会福祉士試験のほうが、科目数が多く、学ぶべき内容が幅広いことがわかります。

6.国家試験の合格率の違い

厚生労働省の発表によると、第37回(2024年度)介護福祉士国家試験の合格率は78.3%、第37回(2024年度)社会福祉士国家試験の合格率は56.3%でした。※1、2

近年の合格率を見ると、介護福祉士国家試験の合格率は70%~80%前後と安定しています。一方、社会福祉士国家試験の合格率は30%から60%前後を推移しており、年度によって変動があります。

このように、介護福祉士試験と社会福祉士試験では、受験資格を得るまでのルート、科目数、合格率などに違いがありますが、いずれの試験においても、合格するには、大学や養成施設などで学んだ内容をしっかり理解し、基礎知識を身につける必要があります。
※参照1:厚生労働省 第37回介護福祉士国家試験 合格発表について
※参照2:厚生労働省 第37回社会福祉士国家試験合格発表

介護福祉士の主な勤務先

介護福祉士の活躍の場は、高齢者向けの介護施設が中心ですが、なかには障害者施設や医療機関で働く人もいます。ここからは、介護福祉士の主な勤務先について詳しく解説します。

入居型介護施設

高齢者介護施設のなかでも、介護が必要な高齢者が入居して生活する施設を入居型介護施設と呼びます。特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、有料老人ホーム、グループホームなどが該当します。

入居型介護施設で働く介護福祉士の主な仕事内容は、食事介助や移動介助、排泄介助、入浴介助といった身体介護、居室の掃除や利用者の衣類の洗濯といった生活援助です。イベントやレクリエーションの担当者として、企画・実施に携わることもあります。チームリーダーや主任として、部下の指導や育成にあたっている介護福祉士も少なくないでしょう。

通所型介護施設(デイサービス)

通所型介護施設は、比較的要介護度の低い高齢者が、自宅から通いながら介護サービスを受けることができる施設です。一般的には、デイサービスと呼ばれます。通所型介護施設で働く介護福祉士の仕事は、食事介助や入浴介助、排泄介助などの身体介護が中心です。

また、通所型介護施設ではほぼ毎日、利用者さんの機能訓練と生きがいを目的に、脳トレゲームやリズム体操、簡単なスポーツといったレクリエーションを行っています。このようなレクリエーションを企画・実施するのも介護福祉士の仕事の一つです。

訪問介護事業所

訪問介護事業所は、自宅で暮らす高齢者からの要請に応えて、ホームヘルパーを派遣して介護サービスを提供します。ホームヘルパーは、利用者さんの自宅を訪問して、入浴介助や食事介助などの身体介護、調理や掃除、洗濯などの生活援助を行うほか、日用品の買い物を代行したり通院に付き添ったりすることもあります。

訪問介護では、ほとんどの場合、一人で身体介護にあたらなくてはならないため、一般的に、介護職員初任者研修以上の資格を持っていることがホームヘルパーとして働く条件とされています。介護福祉士はこの条件を満たすため、多くの介護福祉士が訪問介護の現場で活躍しています。

障害者施設

障害者施設には、入所型の障害者支援施設や障害者グループホーム、通所型の生活介護事業所(障害者デイサービス)や就労支援事業所など、さまざまな種類があります。

サービス内容や支援の範囲は施設の種類によって異なりますが、これらの障害者施設では、生活支援員と呼ばれる職員が、利用者の身体介護や生活援助を行っています。生活支援員に必須の資格は特にありませんが、介護福祉士の知識やスキルが活かせる職種の一つといえます。

医療機関

最近は、入院病棟のある医療機関でも、多くの介護職が働いています。医療機関で働く介護職は、医師や看護師と連携しながら、入院患者の身体介護や看護補助を行います。

採用要件は医療機関によりまちまちですが、たしかな介護スキルと専門知識を持つ介護福祉士は、介護のプロとして多くの職場で歓迎されるでしょう。

社会福祉士の主な勤務先

続いて、社会福祉士の主な勤務先を紹介します。

介護施設

特別養護老人ホームや有料老人ホーム、通所介護施設(デイサービス)といった高齢者介護施設では、社会福祉士は生活相談員として働くケースが一般的です。これは、多くの自治体が、社会福祉士の資格があることを生活相談員の要件の一つとして定めているためです。

生活相談員は、介護施設の窓口として、入退所の手続き、利用者さんやその家族からの相談対応、関係各所との調整を行います。なお、介護老人保健施設(老健)で働く相談員は支援相談員と呼ばれます。

障害者施設

入所型や通所型の障害者施設では、多くの社会福祉士が、利用者さんの日常生活の介助や生産活動の指導をする生活支援員として働いています。

そのほか、就労支援事業所で、利用者さんの就労に向けて必要なサポートやスキルの指導を行う就労支援員として働く社会福祉士もいます。

医療機関

医療機関で相談員として働く社会福祉士は、医療ソーシャルワーカー(Medical Social Worker:MSW)と呼ばれています。

医療ソーシャルワーカーは、医療機関に入院する患者さんやそのご家族が安心して入院生活を送れるように、心理面・経済面の相談に応じ、退院後の社会復帰に向けてさまざまな支援、関係各所との連絡・調整を行います。

行政機関

社会福祉事務所や児童相談所といった行政機関でも、多くの社会福祉士が活躍しています。社会福祉事務所の職員として働く社会福祉士は、一般的に、ケースワーカー(Case Worker:CW)と呼ばれています。

ケースワーカーは、高齢者や障害者、生活困窮者など、困りごとを抱えるさまざまな人からの相談に応じる職種です。面接や家庭訪問を通して状況を把握し、自ら生活指導をしたり、医療機関や介護施設と連絡をとって適切な支援につなげたりします。

児童相談所で相談業務を行う社会福祉士は、児童福祉司と呼ばれます。児童福祉司は、虐待通報への対応をはじめ、子どもや保護者との面談、子どもの家庭への訪問、支援計画の作成、一時保護の判断などの業務にあたります。

社会福祉協議会

社会福祉協議会は、住民が主体となった福祉活動を推進するための民間団体で、全国に設置されています。社会福祉協議会では、正規職員の要件として、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を求めるケースが多いため、多数の社会福祉士が職員として働いています。

職員の仕事内容は、高齢者や障害者、生活困窮者からの相談への対応、子育て中の親子が気軽に集えるサロンの開催、市民のボランティア活動の推進や支援など、多岐にわたります。

地域包括支援センター

地域包括支援センターとは、地域の高齢者のための総合相談窓口としての役割を備えた機関です。病気や介護、経済的な問題、虐待といった多様な困りごとに対応するため、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職を置くことが定められています。

社会福祉士は、総合的な相談への対応・支援のほか、消費者被害や虐待に関する相談への対応、成年後見制度の紹介などの業務を担当します。

学校

小学校や中学校、高等学校などで働く社会福祉士は、スクールソーシャルワーカー(School Social Worker:SSW)と呼ばれます。

スクールソーシャルワーカーは、社会福祉に関する専門知識を活かして、いじめや不登校、児童虐待といった問題に直面する児童や生徒の相談に応じ、問題解決や状況の改善に向けてさまざまな支援を行います。

介護福祉士と社会福祉士、目指すならどっち?

自分のキャリアパスと照らし合わせて検討しましょう!

介護福祉士は介護のプロであり、主な活躍の場は介護現場です。また、現場で働く介護職のリーダーとして、後進を指導する役割も求められます。

一方の社会福祉士は、高齢者に限らず、福祉を必要とする幅広い人からの相談に対応する職種です。相談対応や家庭訪問で人と接する場面が多いものの、デスクで事務的な作業をする機会も少なくありません。

基本的には、主に高齢者を支援したい人、介護業界で活躍したい人には介護福祉士、困りごとや悩みを抱える幅広い世代の人の支援をしたい人、福祉・介護業界のさまざまな現場を就職・転職先として視野に入れたい人には社会福祉士が適しているといえます。

また、行政機関で働く場合には社会福祉士の資格が求められるケースが多く、社会福祉士のほうが高収入になる傾向があるので、公務員になりたい人、高収入を得たい人には社会福祉士のほうがおすすめといえるかもしれません。ただし、介護福祉士でも職場や制度によっては高収入となる場合があるため、給与面だけでなく仕事内容やキャリアパスも含めて検討することが大切です。

介護福祉士と社会福祉士の両方を取得するには?

介護福祉士資格と社会福祉士資格のダブル取得を目指すという道もあります。ダブル取得までのルートは、学歴や実務経験の有無などによって異なります。

たとえば、一般大学を卒業した人の場合、介護施設に入職し、介護職として働きながら介護福祉士、社会福祉士の順に取得を目指すというルートが考えられます。介護職としての実務経験が3年に達した時点で実務者研修を修了すると、まず介護福祉士の国家試験にチャレンジできます。

介護福祉士の資格を取得したあと、通信制または通学制の社会福祉士の養成施設で1年以上学んで卒業すると、社会福祉士の国家試験を受けることができます。合格すると、両方の資格を得ることができます。

介護福祉士から社会福祉士を目指す場合に免除できる項目

また、介護福祉士の資格を持っている方が社会福祉士を目指す場合、社会福祉士養成課程で一部の実習時間が免除される制度があります。

具体的には、介護福祉士や精神保健福祉士などの福祉専門職の資格を持っている場合、最大60時間分の実習が免除されます(通常は最大240時間)。この制度を活用することで、資格取得の負担を軽減することができます。

また、社会福祉士養成課程に入学する前に1年以上の相談援助実務の経験がある場合は、「ソーシャルワーク実習指導」や「ソーシャルワーク実習」自体が免除される場合もあります。ただし、介護職の一般的な介護業務だけではなく、介護支援専門員や生活相談員など、利用者さんの相談や指導にあたる職種での実務経験が対象となります。
※参照:厚生労働省 社会福祉士養成課程における教育内容等の 見直しについて

両方を取得するメリット

介護福祉士と社会福祉士、両方を取得すると、知識とスキルの幅が広がるため、利用者さんに対して、よりその人に合った支援ができるようになります。また、介護職としても相談員としても働けるようになるため、職場選びの選択肢が増え、転職でも有利になるでしょう。職場によっては、資格手当によって給与額がアップすることもあるかもしれません。

ただし、介護福祉士と社会福祉士をダブルで取得するには、相応の時間と費用がかかるうえ、働きながら勉強を重ねるのは大変です。そうしたデメリットについても理解しておきましょう。

まとめ:介護福祉士、社会福祉士のいずれも将来的にニーズの高まる職種

介護福祉士、社会福祉士はいずれも専門性が高い資格であり、取得することで確実にスキルアップ、キャリアアップにつながります。また、今後もますます高齢化が進み、支援対象者が増えるなかで、いずれも将来、ニーズの高まる職種といえます。

福祉・介護業界でキャリアアップを目指すのであれば、両者の違いを理解したうえで、自分のキャリアビジョンや理想の将来像に合うほうを取得するとよいでしょう。将来像がそこまで明確ではない人や将来の可能性を広げたい人は、介護福祉士、社会福祉士のダブル取得を視野に入れてもよいかもしれません。

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