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【10月10日は転倒予防の日】介護施設で実践したい転倒予防策とは?

【10月10日は転倒予防の日】介護施設で実践したい転倒予防策とは?

10月10日は転倒予防の日です。介護施設でも利用者さんの転倒予防は常に意識されているのではないでしょうか。しかし、これをきっかけに利用者さんだけでなく、職員さんの安全面も意識してみませんか?転倒予防としてできる対策方法を、職員さん・利用者さんに分けて紹介します!【執筆者/専門家:古畑 佑奈】


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本日のお悩み:介護施設でできる転倒予防とは?

10月10日は「転倒予防の日」だそうです。施設で転倒予防に取り組む月間としたいのですが、どのようなことに取り組めばよいでしょうか。

職員さんと利用者さん両方の視点で教えてください。

転ばぬ先の杖!施設でできる転倒予防

執筆者/専門家

古畑 佑奈

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/19

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員 特別養護ホーム生活相談員、訪問介護事業、地域包括支援センターにて介護支援専門員の経験あり。 現在は、デイサービス管理者として勤務。 地域でのネットワーク活動では事務局として「死について語る会」や「3大宗教シンポジウム」など幅広いテーマの勉強会やイベントを企画・運営の経験がある。 すきな食べ物はラーメン。

転倒予防の日とは?介護施設での重要性

10月10日は「転倒予防の日」。2012年に日本転倒予防学会が制定し、「てん(10)とう(10)」の語呂合わせから生まれました。「転倒予防」と聞くと利用者さんに対しての対策があれこれ思い浮かぶのではないかと思いますが、介護施設では利用者さんだけでなく、職員自身の転倒予防も欠かせません。実は労働災害のうち最も多いのが「転倒」で、全体の25パーセントを占めています。

転倒は利用者さんにとっては要介護状態の進行や骨折・寝たきりにつながる重大なリスクであり、職員にとっては労働災害の主要因でもあります。今回は「職員向け」と「利用者さん向け」の両面から、現場で取り組める転倒予防策をご紹介します。
※参照:厚生労働省 転倒災害発生状況

【職員向け】介護施設での転倒予防対策

介護職員 転倒予防

まずはじめに、職員さん側の転倒予防について説明します。介護職員さんの転倒予防でできる対策は以下の通りです。

1. 職場環境を整える
2. 正しい動作・姿勢を習慣化する
3. ヒヤリハットを共有する文化づくり
4. 健康管理も転倒予防

1. 職場環境を整える

転倒は「環境要因」によって起こることが多いです。通路を塞ぐカゴや電気コードはつまずきの典型例ですし、濡れた床の放置や、そもそも濡れた床を歩く入浴介助では滑る危険が高まります。

また、床材の劣化や靴のすり減りは、毎日使っていると気づきにくいものです。設備環境の定期点検や物品交換を習慣化し、利用者さんだけでなく自分自身の安全を守る視点も持ちましょう。

2. 正しい動作・姿勢を習慣化する

介護現場では、腰や肩に負担がかかる動作が多くあります。利用者さんの支え方を誤ると、バランスを崩して転倒しやすくなります。

腰ではなく膝を曲げ、支持基底面積を広くした安定した姿勢をとることで、自分の体も守ることができます。ベッドや車いすに手を添えてから屈むなど、「支点を持つ」だけでも転倒リスクは大きく減ります。

また、重い荷物は一人で無理をせず、台車を使ったり同僚と協力したりすることも大切です。慣れからつい省略してしまう基本動作こそ、安全の鍵です。

3. ヒヤリハットを共有する文化づくり

「転倒には至らなかったけれど危なかった」という体験は、実は非常に貴重な情報です。こうした事例を記録・共有すれば、施設全体で再発防止の仕組みを考えることができます。

重要なのは、個人の不注意を責めるのではなく「なぜ起きたか」「どう環境や仕組みを変えれば防げるか」を議論することです。小さな気づきを積み重ねることが、職員と利用者さん双方の安全文化を築きます。

4. 健康管理も転倒予防

心身のコンディションが崩れていると、注意力も反射神経も落ち、転倒リスクが高まります。睡眠不足のまま夜勤に入るのは避け、こまめな水分補給で脱水によるふらつきを防ぎましょう。

さらに、滑りにくい靴や動きやすい制服を選ぶことも重要です。職員自身の体調管理は「自分を守るため」だけでなく「利用者さんに安全なケアを提供するため」の基盤です。

【利用者さん向け】介護施設での転倒予防対策

高齢者 転倒予防

次に、利用者さんの転倒予防について対策をご紹介します。

1.体操や運動習慣の支援
2.履き物や衣服、環境設備の見直し
3.栄養と水分補給の支援
4.職員研修・勉強会の実施
5.転倒リスクのアセスメント強化

1.体操や運動習慣の支援

筋力やバランス力を維持することは、転倒予防に直結します。

椅子に座ったままできる下肢の運動や、立ち上がり練習、歩行練習などを日課に取り入れ、無理なく継続できるよう支援しましょう。テレビ体操のような簡単な運動がおすすめです。

2.履き物や衣服、環境設備の見直し

滑りやすいスリッパやサイズの合わない靴は、転倒の大きな要因です。利用者さんと一緒に履き物を確認し、適切なものを選びましょう。

また、衣服が長すぎて裾を踏んでしまう、サイズが合わずだぶついてしまうといったことがないか確認し、必要に応じて家族にも見直しを依頼しましょう。併せてベッド周りや居室内の整理整頓を徹底することや、トイレまでの動線に障害物がないかを改めて確認してみましょう。

3.栄養と水分補給の支援

転倒予防は環境や運動だけでなく、体づくりからも取り組めます。

筋肉や骨の健康を保つために十分なタンパク質やカルシウムを摂取すること、脱水による意欲低下やふらつきを防ぐためにこまめな水分補給を促すことが大切です。栄養面や水分補給への支援も、転倒予防の一部と考えましょう。

4.職員研修・勉強会の実施

転倒のリスク要因は加齢による筋力低下、薬の副作用、認知症による判断力低下、環境整備など多岐に渡ります。「転倒リスクをどう見抜くか」を学び直し、観察力を向上させましょう。

また、過去に施設で起きた転倒事故の事例を共有、経緯を分析し、なぜ防げなかったのかを振り返ることで現場の意識を高めましょう。

5.転倒リスクのアセスメント強化

「転倒リスクチェック表」の活用を徹底し、全利用者の歩行能力・服薬状況・認知症の進行度を再評価します。評価結果をケアカンファレンスで共有し、介護計画やリハビリ内容に反映させることで転倒リスクに対しての共通認識も生まれます。

一度転倒すると「また転ぶのでは」という不安から活動量が減り、筋力低下を招くことがあります。歩くことに前向きになれるような目標設定を支援し、活動性を維持していきましょう。

まとめ:転倒予防の日をきっかけに施設全体の安全意識を高めましょう

介護や看護の現場では、利用者さんの安全を守るために急いで動くことが多く、その結果、職員自身が転倒するケースも少なくありません。職員が安全に働けることで、利用者さんを安全にケアすることができます。

そして「転倒予防の日」をきっかけに施設全体で転倒予防に取り組むことは、事故防止にとどまりません。歩くことはあらゆる生活動作の基本であり、突き詰めると利用者さんの自立支援・生活の質の向上につながります。転倒予防が単なる月間イベントではなく、施設文化として根づいていくとよいですね。

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この記事のライター

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員

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